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2019年12月25日水曜日

冬期休暇について

中田歯科医院は、12月28日(土)~1月5日(日)まで冬期休暇をいただきます。

新年の診療は1月6日(月)から始めます。

今年一年、ご来院ありがとうございました。



また、休暇中の緊急対応につきましては、下記 川口歯科医師会 休日当番のウェブサイトにてご確認ください。





来年も良い歯科医療を目指し、精進したいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

2019年振り返り その2 今年やったこと

こんにちは! 東川口の歯医者 中田智之です。



2019年も残すところあとわずかということで、今年一年やったことを振り返ってみたいと思います。




2月 第二子誕生



いきなりプライベートですが、今はすっかり椅子に座り離乳食を食べる息子も、つい一年前に誕生したばかりかと思うと驚きです。





3月 川口歯科医師会学術研究会に沼部教授を招聘



所属する学術部長からのオファーでしたが、恩返しにもなるので高いモチベーションで取り組みました。

しかし沼部教授といえばただの歯周病学教授にあらず、日本歯科大学学部長という大出世を果たしたご身分。

めちゃくちゃお忙しい中でも、私の顔を立ててくださったのか、快諾していただき、恩返しどころかさらに御恩を受けてしまったような気もします。

ともかく無事に済んでほっと一息でした。





4月 クリニック改装



従前の医院の内装には大きな不満を持っていました。

医療機関らしいといえばらしい真っ白の床と壁。そこに刻まれたたくさんの擦り傷…。



なるべくはやく改装したいと思いながら、院長はあまり乗り気ではありませんでした。



ということでいいかげん頭に来て、祖母が亡くなるときに貰った有難いお金を全額ブッコんで、独断で改装することにしましたっ!

そう、中田歯科医院はイイ感じのシャレオツで、でもどこか暖かい、そんなクリニックに生まれ変わるんだ!!



…しかしコンセプトは紆余曲折しまくり、スタッフに意見を聞いておきながら、最終的にはスタッフの意見を無視しで独断で決めるという大迷走。

しかし最終的には改装業者のアポロ企画様のご意見を伺いながら、めっちゃ良い感じに仕上がったんじゃないかなと思います。





5月 歯周病学会認定医試験 合格



大学院在学中に取る人も多いのですが、なぜかケースの引きが悪くて(原因はわかっている)取得できなかった認定医。

卒後5年目にしてようやくリベンヂ取得しました。



大学院にいっていない同級生も同時期に受験ということで、「ケース的には問題ないはずだし、筆記で落ちたとなったら末代までの恥!」と自分でハードルを上げまくって、ガムシャラに勉強していたように思います。



なお試験は心から殺すコンセプトであるかのような難問奇問でした。

冷静に読むと解けるタイプの問題で、今思えば味わい深い問題だとおもいますが、受験しているときは顔が青くなったり赤くなったりしかしませんでした。

合格したあとは会場近くの横浜中華街で、飲茶食べまくって足裏揉まれまくったとこまで良い思い出。







7月 事務作業の見直し


この頃ホームページ移設や、母親と経理を共同作業とするなど、ソフトウェア的な活動をしていました。

ホームページはブログ形式にして、攻めの体制を作れたと思います。





8月 溶連菌 / 9月 肺炎



前半戦で燃え尽きたのか、生来の虚弱体質っぷりを露呈。

しかし病の隙間をぬいつつ、受動喫煙防止について勉強し、行政への陳情or請願の体制作りなんてことをしていました。

参加してるオンラインサロンでの仲間も増え、大変視野の広がった期間でした。



この仲間たちとLGBT、受動喫煙対策についてディスカッションをライブ配信したのが、今のYoutube活動に繋がっているものと思います。





10月 日本歯科大学歯周病学部講座 聴講生になる


うちの研究室の普通のキャリアでは大学院生→研究生(現在廃止)→非常勤講師という流れなのですが、様々な理由で微生物学の非常勤講師となりました。

しかし認定医の上位資格である歯周病専門医(国家資格)を取得するためには、専門機関で2年以上の研修をうけなければなりません。

その条件を満たすために、再び歯周病学講座の勉強会に出席することとなりました。



とはいえ、歯周病学講座の勉強会は「ノルマ消化」という表現とは全く無縁、非常にクオリティの高い勉強会です。

そんじょそこらのスタディグループに所属するより100%有意義で、しかも6か月10万円というお得価格です(ダイマ)





11月 継続新規目指して行動開始。電子カルテセッティング変更


いまは親父がクリニック開設者となっていますが、いずれ変更せねばなりません。

変更時には一回以上の行政指導がはいり、カルテを厳しくチェックされます。



相応の準備がなければ、一発合格は難しいと考えてよいでしょう。

そのために医院の電子カルテソフトウェアのセッティング変更や、スタッフの業務見直し等を進めています。

来年から再来年にかけて、最大のテーマとなってくると思います。





12月 俺はYoutuberになるっ!!! (←New!)


なんでこんなことになってしまったのか。

まず、オンラインサロンの勉強会をライブ配信したことで、少しノウハウを得たことから始まります。



そして同時期応援していたオトくんが当選し、Youtubeの影響力というものが目の当たりにしました。

続いて田尾さんがYoutuberで面白いことして食べていくというビジョンはピークアウトしつつあるかもしれないけれど、芸人を含む専門職が発信する時代がこれから来る、と煽るものだから、まぁやってみるかタダだしみたいな。



そしてやってみるとすごく世界が広がりました。

色んな人が面白がって話しかけてくれるし、撮影というプロセスの中でプレゼン力=患者説明力がメキメキと上がるんですね。

改善点は山ほどあるけど、毎回楽しんで配信してます。



もしよかったらチャンネル登録してください(笑)

動画UP → 編集 → ブログ化 →SNS拡散 とやっているので、いち早く最新動画が見れます!w

https://www.youtube.com/channel/UCD2lE0b2FWSRi23HjqKCSYg/featured?disable_polymer=true




まとめ そして来年へ


いやー、なかなか駆け抜けましたね。

いつポックリいっても「俺は充実人生おくりました」と胸を張って言える気がします。

いや、死にません。肺炎から復帰したとき、「先生が死んだら私どうなってしまうの!」と言われたので、当分生きていたいと思います!!(めっちゃ嬉しかったです)



ということで、来年も頑張ります。よろしくお願いいたします!


2019年12月23日月曜日

[動画] 金属アレルギーに関する解説動画を公開

こんにちは! 東川口の歯医者 中田智之です。



今回はネットやメディアで聞き知って、不安になっての質問、多くいただきます、
歯科金属アレルギーについて解説します!

治療の流れや、活用可能な制度、簡単なチェックポイントなどをご紹介しました。







参考:テーマパーク8020
https://www.jda.or.jp/park/relation/metalallergy_04.html





<あとがき>

今回から背景を変更し、ホワイトボードを想定した模式図をかいて説明しました。

どうでしょう、個人的には非常によくなったのではと思います!



このあと2本まとめどりをした後、ホワイトボードの良さを確信して購入したので、3本あとあたりの動画からホワイトボード登場すると思います(笑)



それと、Youtubeなんで目立つタイトルをつけています

ブチ壊すとか、普段仕事では言いませんのでご理解のほどをお願いします。

なるべく多くの人に情報を伝えたい、その一心だけであります。…申し訳ありません!(笑)


2019年12月20日金曜日

2019年振り返り その1 ブログに関して

こんにちは! 東川口の歯医者 中田智之です。



2019年も残りわずかとなりました。

本日は今年を振り返る記事第一弾として、ブログに関する振り返りを行いたいと思います。

ブログのイラスト(ウェブサイト)

このブログも今年7月に旧HPから移行、10月ごろから本格始動ということで、週2本ペースで続けてきました。

旧HPはFC2サーバーでローカルの検索では10位以内を獲得しておりました。

しかしアップロード作業が面倒で、より頻繁な更新を行うためにブログに移行しました。





ブログは当初ローカルでの検索結果50位程度から、いくらかの施策によって15位くらいまで浮上し、目標である10位以内まであと一歩のところまで来ました。





開発体制としては無料ブログサービスを利用しつつ、自分でサーチコンソールと睨めっこして分析し、スマホ一台で動画を撮影し、投資額ゼロ円で行っています。



もちろん歯医者が歯削らないでブログとにらめっこするのが投資ゼロかというと微妙ではあります。

しかし非歯科関係者からのご意見などは一つ一つが大変貴重で、学びや気づきが多くあります。

これは投資ゼロではなく、投資プラマイゼロと表現するのが正しいかと思います。





さて地道なブログ書きにいそしんだ結果、初診時のアンケートでインターネット経由での来院が明らかに向上し、小さいながらもネット広報の成功を実感しています。



その結果として、「もっと長い説明を期待する視線」「ハイテンションで面白い説明を期待する視線」が増えてきて、ちょっと当初の想定と違った展開に違和感を感じています。

まぁそれもブランディングとしてアリよりのアリ!と楽しんでいる次第でございます。





私のブランディングスタンスには是非があるとは思います。

こうなってしまった原因に、私のSEOの師匠と(勝手に)あおぐ方の以下の発言があります。



「最近の人は目が肥えているから、ちょっとやそっとキャラ作っても見抜くし冷める。
  だからゲーム記事でもポエムでも、なんでも乗せていい。
  あなたの属人的なクリニックなんだから、あなたがどういう人なのか、知ってもらうことには価値がある」



これめっちゃ名言じゃないですか? 思い出補正と曲解が酷いと突っ込まれそう。





つまり、このブログは「ローカル広報」「歯科行政に対する課題解決」「歯科情報の普及」と同時に「私のポエムである」という方向性で、来年も細く長く続けていきたいと思います。



いつかバズって不労所得で暮らすんだ。


2019年12月16日月曜日

[動画] 幼稚園 / 保育園児のハミガキを攻略!

東川口の歯医者 中田智之が歯科情報を解説!



今回は乳幼児のハミガキについて解説しました。






ガイドライン上は楽しませながら実施する、としか最近は書いてありません。
しかし共働きで忙しい保護者たちにとって、その他のアプローチも必要と感じております。



動画で紹介した方法は、東京医科歯科大学の小児歯科博士から聞いたものです。
これはテクニック的なものなので、エビデンスはありません。



また、体動を抑制する方法は安全に十分配慮する必要があると、重ねて申し上げておきます。



以前は適切な体の抑え方などの情報はインターネット等でアクセス可能だったのですが、事故等があり現在その情報は消去されてしまったという経緯があります。

危険性があるから、安全に配慮した方法もろとも消してしまう、というのはどうなんだろう、と個人的には思っております。

物理的力を行使して矯正するという選択肢が否定されるので、怒鳴るという方法に行きついてしまう。子供を追いつめるように怒鳴るのと、短時間体動を安全な方法で制限して実施すること、どちらが子供の発達に良いのか、また親の精神衛生上良いのか、十分な議論が必要ではないでしょうか。

どこに行ったら決定権を伴う議論できるんだろう。


2019年12月13日金曜日

歯周病学忘年会と、紹介患者のその後。

こんにちは! 東川口の歯医者 中田智之です。


先日日本歯科の歯周病学忘年会に参加してきました。


関野先生には、最近診た難しい歯周病のケースについて質問したり、私の手に余って紹介したケースのその後についてうかがったりしました。



「(OBなんだから)簡単なケースを紹介したら怒るけど、今回のはクリニックではたしかに難しいかも」

とのことでお許ししただきました。(笑)



できる範囲のことをアクセスの良い身近なクリニックで、というのは大前提です。

しかし大学病院内部を知るものとして、どのようにオファーすれば病院内部で動きやすいかまで考慮した、ベストな紹介というのも一つの重要なテーマだと思っています。


紹介した患者さんは現在複数の専門科連携の上で改善しつつあるようなので、今回は良い紹介ができたということかなと安堵しております。


またよく誤解を受けるので解説しますが、大学病院(二次医療機関)への紹介はクリニック(一次医療機関)との縁が切れるものではありません。

今後も緊急対応や当該疾患以外の処置は担当するし、治療完了した暁にはクリニックに戻ってくる、というのがルールです。



今回は歯周病なので「完治してクリニックへ戻る」という概念からは少し外れるところもありますが、緊急対応などは当然のことと、何かの機会での来院をお待ちしております。


他、地域医療に対する熱い思いを発露するひとがいたり。


大学院生の卒業後の不安をマジトークしたり。


新入生のメンタルケアしたり。


令和元年の夜はふけてゆくのでした…。

2019年12月9日月曜日

[動画] 良い歯医者の選び方を歯医者が(ビクビクしながら)解説!

こんにちは! 東川口の歯医者 中田智之です。



今回はご質問のあった「歯医者の選び方について」です。
答えるのが難しい話題ではありますが、業界から抹殺されない程度に解説しました!






<あとがき>

今回からノー台本としました。やっぱりカメラ目線はかっこいいですね。

ある程度長回ししてYoutube Studioでカット編集だけ行う、というのもありだと思っていて、今後そういう動画も公開するかもしれません。

一方で覚えられる範囲3分というのは、見る側にとっても負担が軽いと思いますし、論点を整理して淀みなくプレゼンするというのは、今後の人生役立つことだとも思い、トレーニングする価値のあることだと考えています。

いまのところカット編集するよりも撮り直しでベストテイクを出す方が楽なのでこのスタイルです。

動画に関してアドバイスや、テーマのリクエストがありましたら、YoutubeページもしくはSNSにてメッセージをお寄せいただければ幸いです。


2019年12月6日金曜日

10年ぶりの塾友同窓会!

こんにちは! 東川口の歯医者 中田智之です。

先日、塾友と10年ぶりの同窓会をしてきました。



当日医療系受験塾で長く同じクラスで過ごした仲間で、私の人格形成に多大な影響を受けた旧友と思っています。

とくにEDEN(遠野浩輝)とBRAM(弐瓶勉)とギターは人生のターニングポイントだった気がします。

良い方向にいったか悪い方向にいったかはわかりませんが



さてあれから20年(!)、みんなおっさんになってしまったわけです!

人数分のサングラスをもちこむヤツがいて、店員さんに失笑されながら写真撮影する、心に余裕をもった3人のオッサンの図。



さて、男同士ということもあり仕事の話もいくらかしたのですが、面白いのが全員高齢者医療に関わりのある仕事をしていたということです。


やはり高齢者医療のニーズは大きいですね。

シルバーデモクラシーを実感しました。



同じメディカル分野といっても、異なった立場から、横のつながりとして臨場感のある話を共有する機会はないので、たいへん有意義な時間になりました。





特に共感を呼んだ私の発言
「おじいちゃんの笑顔、プライスレス」


(他の二人は気付いていないかもしれないけど、保険の義歯の調整料が超安いという、歯科医師だけにわかる自虐ネタ

(義歯の調整は月に一度100点(1000円)が算定でき、以降は何度実施しても点数はナシ



おじいちゃんおばあちゃんの笑顔は最高のご褒美なんで、明日もがんばろうとおもいます




<おまけ>

ギターとドラムで音出して遊んでみた



2019年11月30日土曜日

[動画] 虫歯を3割減らすハミガキを解説!

こんにちは! 東川口の歯医者 中田智之です。



今回はこれまでもたびたび記事にした「虫歯予防の観点でみた」歯みがき法について動画で説明しました。






根拠となるガイドライン:厚労省 e-ヘルスネット

歯みがきによるむし歯予防効果
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-02-015.html
フッ素配合歯磨剤
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-02-007.html



ねんのため言及すると、「歯周病治療のための」歯みがき法とはまったく別だと考えているので、「中田は歯周病認定医なのにブラッシング指導を日和った」というのではないと明言いたします(笑)



全ての人に対して歯周病治療できる水準のブラッシングは必要ないというのが私の考えで、それだけ歯周病治療のためのブラッシング指導はハイレベルであるとお考えいただければと思います!

2019年11月27日水曜日

[動画] 歯肉マッサージって必要なの!?

こんにちは! 東川口の歯医者 中田智之です。



今日はご質問のあった歯肉マッサージについて、動画で解説しました。






歯肉マッサージという言葉はしばしば聞くと思いますが、しっかり教わる機会は少ないと思います。

歯周病認定医として関係のある分野ですし、勉強会でも取り上げられることのあるテーマですので、確度のたかいマトメになっているはずです!



ご参考になれば幸いです!



<一人反省会>

前回まで全部暗記して話してたんですが、この動画を含め3本ほどカンペ読んでます。

なので目線やダイナミズムが損なわれていますね。

今後は3分以内(覚えきれる)でノーカンペノーカットを目指そうと思います!

このテーマも内容としては良いと思うので、いずれ切り口を変えて採録したいですね。

さしあたり既に録画した分は予定通り順次公開するつもりです!

2019年11月25日月曜日

がんばれ未来の担い手たち! 夢わーく社会体験学習

こんにちは! 東川口の歯医者 中田智之です。

先週は川口市の社会体験学習として、2名の中学生を3日間クリニックでお預かりしました。



(参考:川口市 夢わーく社会体験学習
http://www.sch.kawaguchi.saitama.jp/sachinami-j/h31yumework.html





中田歯科医院では患者さんの誘導・ご案内、治療前後の準備・後片付け業務を基本にお願いしています。

二人とも初めての接客ということで大変緊張していましたが、3日目にはしっかり挨拶ができるように成長していました。



そのうえで模型上での歯型の型取り体験や、ごく基本的な診療補助の体験をしていただきました。

二人とも事前のアンケートで医療系希望だったとのことで、一生懸命とりくんでいました。





診療補助は超安全なケースでバキュームを持ってもらっているだけです。

しかし関係者は分かると思いますが、右側の歯を削るときはどうしても手が一本足りなくなるので、持ってくれているだけでめちゃくちゃ助かります。



これ、私が助かるだけでなく、歯科医師(私)の作業効率が上がることで、患者さんも口を開けている時間が短縮できるので、学生さんが担ったお仕事というのは色んな人を幸せにしています。

それ言えばよかったな



なおこのバキューム持ちに関しては無資格で実施でき、高校生アルバイトなどにも日常的にお願いする作業で、歯科医師の監督の下、学生さんと患者さんの双方の安全性に関しては完全にコントロールした状態で実施しています。




(プライバシー保護のため画像は加工してあります)


有難いことに最終日には、こちらが嬉しくなってしまうサプライズまでありました。

例年手紙などはあり十分有難いのですが、色紙というのは初めてのことで、スタッフともどもヤル気倍増させていただきました





普段は教室でずっと座っている学生さんたちも、半日近くの立ち仕事で新鮮な体験ができたことと思います。

今後も未来の担い手たちに良い後姿を見せられるよう、チーム医療のクオリティアップに努めていきたいと思います!

2019年11月20日水曜日

衝撃の3Dプリンター歯ブラシは有効なのか

こんにちは! 東川口の歯医者・歯周病認定医、中田智之です。



本日はFB仲間から情報提供のあった衝撃(!)の歯ブラシについて考察してみたいとおもいます。

では下記リンクをご覧ください。ジャジャーーーンッ!!!

6秒でできる3Dプリンター歯ブラシ
https://wired.jp/2013/10/03/blizzident/?fbclid=IwAR2549U03QUBgmt5P4eLh3pSHLl17XD80gvPCA0YpHUmoQko12FzyIPrRNc



これはBlizzidentという商品のようですが、すごいインパクトですね!!

実は歯ブラシは様々な形状のものが開発されておりますが、その中でもバツグンの独自性だと思います!



参考までに、これまでおもしろいなーと感じた歯ブラシをご紹介します。

コロコロ歯ブラシ
http://www.shin-shouhin.com/2015/12/03/korokoro/

デッキ型歯ブラシ
https://www.atpress.ne.jp/news/62269



さて話を本筋に戻すと、これらの歯ブラシは有効かどうかというのが質問で、読者のみなさんもソコが気になっていると思います。

 今回はこれらの歯ブラシの有効性について、学術的に分析したいと思います。





1、どういう歯ブラシを使えばいいかは解明されていない


以前より電動歯ブラシVS手用歯ブラシなど、どういった歯ブラシを使うのが最適か、多くの研究がされてきました。

Comparative single-use plaque removal by toothbrushes of different designs.
Claydon N, Addy M.
J Clin Periodontol. 1996 Dec;23(12):1112-6.




しかし有意差のある研究結果はもたらされておらず、学術的コンセンサスとしては「何を使うのが有効かは明らかでないし、既に多くの研究がされてきたので今後も明らかにならないだろう」というところに着地しています。



それは何故でしょうか。



大きな理由としては、人間の口の大きさ・歯並び・顔の筋肉と脂肪のつき方・手の動きのクセに多様性があることが挙げられます。

模型実験で有効性が見られても、実際に多くの被検者に使用してもらって統計をとる段階になると、この被検者ごとの多様性に統計結果が飲み込まれてしまうものと理解しています。



ゆえにその人ごとにやりやすい道具は違っていると認識して臨床に向かうのがよいと思います。



つまりその道具の特性をとらえて個別に指導することが重要で、手が不自由な人には電動ブラシが適しているでしょうし、口の奥まで届かないというケースにはコンパクトヘッドよりも植毛部プラスチックの厚みが薄く丸い形状のものを、歯肉が脆弱でこすれて痛みを伴う場合は毛束が角張っていないものを選ぶのが良いなど、色々なテクニックがあります。





2、何を使うかより、結果的にみがけたかで評価する


それでは何が正解か全くわからないのでしょうか。

そうではなく視点を変えてみて、その道具をつかって結果的にどれだけブラッシングできたか記録し比較することで評価することができます。



具体的に言えば本ブログでもたびたび登場するPCR(O'Learyのプラークコントロールレコード)を測定すればよいでしょう。



3Dプリンター歯ブラシでも、コロコロ歯ブラシでも、いままで使用してきた歯ブラシと比較してPCRが同等か減少していれば、それはその人にとって有効な手段であるということが実証できます。



またPCRが同等であれば所要時間が短いほうが合理的です。

所要時間の短さはフッ素入り歯みがき粉の効果的運用にもつながるので、重要なパラメーターです。





3、もしかしたら研究テーマの宝庫かも


このような新しい歯みがきツールは次々開発されますが、今回の3Dプリンター歯ブラシは、新技術を使用した斬新なものであることは間違いありません。



もちろんお勧めしているわけではなく、PCRを測定しないとなんとも言えないというのが現実ではあります。

しかしデータもないのに有効性を疑うのは、歯科医師であるまえに科学者として正しい姿勢とは思いません。



ここはぜひ、どなたか研究テーマにしてみてはいかがでしょうか。

現状PubMedで検索してもBlizzidentの学術論文は見つかりませんでした。

じつは商品名ではなく、何らかの別の学術的呼称が設定されているのかもしれませんが、そこまで付き合う気ないからパス。



もちろん研究の質としてどの程度のインパクトファクターの雑誌に載るかは、あんまり期待できるものではありませんが、3Dプリンターというもの珍しさで意外といいとこ乗るかもしれませんし、最低でも学会発表でわりと注目を浴びることができると思います。



例えば実験計画を組むとすると、入学したての歯学生(まだブラッシングが上手ではない)を対象とし、男女比を揃えて2群に分けます。

2群ともベースライン時のPCRおよび基礎データを記録します。あくまで一般人が自主的に器具を変更した状況を想定し、あえてTBI(ブラッシング指導)は行いません。

実験群は当日からBlizzidentを使用し、対照群は今まで通りのブラッシングを続けます。

一週間後に再度TBIを測定します。その後全ての被検者にPMTCと口腔衛生指導を行います。

これで単純な解析としてはスタート時点からの変化量で比較できます。

次にもともとブラッシングが良好な群と不良な群を設定し、それぞれどういう結果になったかX二乗検定します。

これで結果がどうあろうと学内発表か学会発表は確実にイケます。万が一有意差がでたら論文化できるかもしれません。



以上、もしやってみようと思ったら、私はセカンドオーサーで大丈夫です。

2019年11月18日月曜日

[動画] 歯医者が口臭とその対策について解説します!



歯学博士 歯周病認定医 中田智之が、口臭とのつきあいかたについてご説明します。

2019年11月12日火曜日

[動画] 時短で効率のよい歯ブラシのしかた



小さい歯ブラシよりも大きな歯ブラシで時短みがきしたほうが、虫歯予防に繋がるかもしれません。
「合理的なブラッシングを考える」の補足的動画です。

2019年11月7日木曜日

麻疹(はしか)の予防接種をしないと、ウィルスに免疫記憶が壊される!?

こんにちは! 東川口の歯医者、中田智之です。

先日サイエンス誌より、麻疹ワクチンの接種低下に警鐘をならす以下の論文が発表されました。

Measles virus infection diminishes preexisting antibodies that offer protection from other pathogens.
Mina MJ, Kula T, et al.
Science. 2019 Nov 1;366(6465):599-606. doi: 10.1126/science.aay6485.




その内容は、麻疹(はしか)にかかると免疫記憶のレパートリーが3~4割失われるというものです。

またこの免疫記憶の消失は麻疹ワクチンを接種することでは起こらないこともわかりました。



ワクチンの予防接種は公衆衛生として重要で、命の危険を伴う疾患の蔓延に歯止めをかけるだけではなく、重篤な後遺症から子供たちを守ります。

予防接種をすることは自分自身や、本人のためだけに限らず、地域や社会のためでもあります。

また我々医療人も医療現場での水平感染予防に、予防接種による免疫獲得をしていることが原則的に求められています。



それではサイエンスにとりあげられた上記新しい論文は、どの程度ワクチン推進の論拠となるのでしょうか。

Facebook上にて質問をいただきました本件、私自身も興味を感じたのでまとめてみました。





1、エビデンスレベルをもとめるために構造化抄読を作成する


ある研究論文をどの程度自分自身の医療体系に取り入れるか、あるいは医療行政として推進していくかは、エビデンスレベルに基づいて判断します。



リンク先にもありますが、エビデンスレベルおよびガイドラインは絶対遵守が求められるものではなく、あくまで意思決定の参考とし、論拠として扱います。

最終的にどのような医療を実施するかに関しては、患者の意思や信念なども含めて患者主体に決定していきますが、より合理的な判断となるよう正しい情報をわかりやすく提供するのが医師の務めでもあります。



さて話を戻すと、エビデンスレベルを求めるためには論文の骨組み部分まで抽出した下記のような構造化抄読を作成するのが近道です。

これは歯周病学会のガイドライン作成などでも取られる一般的な方法です。


構造化抄読

・研究デザイン
症例対照研究

・研究施設
アメリカ・ニュージーランド・フィンランドの医大学

・対症患者
ニュージーランドのワクチン接種率の低い地域における、予防接種を受けていない82名、9±2歳を以下に分類。
Mild MV:中等度の麻疹に罹患した34名
Sivior MV:重度の麻疹に罹患した43名
MV negative:麻疹に罹患した5名

また、以下の対照群を設定した。
control A:年齢と観察機関を上記調査と同程度とした28名
control B:年齢を上記調査と同程度にし、観察機関はより長い31名
control C: 成人で観察機関は麻疹群と同程度の22名
MMR vac:小児でMMRワクチンを接種した33名

・暴露要因
麻疹の罹患

・主要評価項目
VirScan(抗原を多数発現させたファージで網羅的に抗体を調べる)

・結果
Sivior MVで中央値40%、Mild MVで中央値33%の免疫レパートリーを喪失した。
MMR vacによる免疫レパートリーの喪失は見られなかった。
(Fig2-A)

・結論
麻疹罹患によって免疫記憶が失われる。
このとき抗体の減少はなく、記憶細胞の破壊がみられる。(後半の生化学的実験に基づく)

・エビデンスレべル
症例対照研究 Ⅳb


(Wikipediaより引用)


本文中ではコホート調査だと言及があります。

しかし実際にはMild MV,Sivior MV(77) と、MV negative(5)の比較部分のみがコホート調査となっていて、残りの対照群114名は後から追加した形になっています。

また、統計学的有意差はControl Aと、Mild MV, Sivior MVの2項目についての間であったようです。(Student t-test & bonferroni correction。箱髭図なのに?)

論拠の中心となる統計学的有意差の比較項目を鑑みて、研究全体としてはコホート調査(エビデンスレベルⅣa)とは認められないため、症例対照研究とみなすのが妥当と思われます。



この複雑な群分けを鑑みると、恐らく初期研究デザインとしてはコホート調査を予定していたのでしょう。

しかし想定よりも麻疹に罹患しなかったMV negativeが集まらず、1グループ5名では統計解析が成り立たなかったというやむを得ない事情があったのではないでしょうか。

もしMV negativeが20名ほどいれば非常にシンプルなコホート調査となり、標本数こそ少ないながらもワンランク質の高い研究になったと思われます。



一方で119名の対照群は様々なバリエーションを含み、論文の内容に厚みを持たせています。

とくにMMRワクチンを接種したMV vac群はワクチン接種の妥当性を主張するために必要です。



話はそれますが、MMRワクチンは世界で一般的に使用されているワクチンで、長年の安全性に関する実績があります。

しかし同時に薬害捏造事件として有名なウェイクフィールド事件にて脚光を浴びた経歴があります。

自閉症との関連を捏造した論文は最高峰の医雑誌ランセットに掲載されましたが、その後捏造と利益相反が明らかになると論文は撤回され、著者は医師資格を剥奪された、世界的に有名な薬害デマ事件です。

しかし日本ではほぼ同時期にMMRワクチンの国内製造時の問題で本当に薬害が起こっていたので、日本人はウェイクフィールド事件を知らず、薬害デマ問題への社会的な耐性を獲得しないまま現在に至っています。





2、弱いエビデンスにとどまるが、期待は大きい


今回の論文はVirScanという新しい検査方法によって生まれたといえると思います。



ある個人が免疫記憶を持っているかというのは古くから検査法がありましたが、1つずつしか調べられませんでした。

それがVieScanなら少量の血液から30ほどの免疫記憶のレパートリーについて、安価かつ迅速に評価できるということでした。



今後VirScanを使った研究は次々現れてくると思われます。大学院生は狙い目かもしれません。安いらしいし!

https://www.trendswatcher.net/aug-2015/science/血液一滴で感染症がわかるvirscan/



さてエビデンスレベルⅣbというのは従来のガイドラインを鑑みると、「弱いエビデンス」とされることが多いかなと思います。

もちろん「現時点では」ということなので、サイエンスに掲載された実績を踏まえて次々と後追い実験もされるでしょうし、それらを統合したメタアナリシスを作成する際も本論文は十分に議論に耐えられると思います。



またエビデンスレベルを高めるために重要なコホート調査に関しても、Fig1-Bを見る限りMV negative群もサンプル数わずか5ながらもバラツキが少なく、サンプルサイズを大きくすれば良い結果が得られる可能性を期待できそうです。





まとめ


以上から本研究は、VirScanという新しい検査方法を用いて、近年予防接種率が低下し続けている麻疹ウィルスの新たな危険性を示したということが評価され、サイエンス掲載を果たしたものと思われます。



ただし速報・第一報的な論文であり、今後の後追い研究による十分な吟味が必要かと思います。

また本研究からワクチン行政全般について議論するというのは難しいでしょう。



もちろんMMRワクチン推進に関しては本論文単独でも、新しい切り口による強力な論拠になると思われます。

VirScanの応用力の高さなども含め、今後の展開が楽しみです。

2019年11月5日火曜日

TCH(tooth contacting habit)は画期的な学説なのか

こんにちは! 歯医者の中田智之です。



歯医者同士で話をしていると、たびたびTCHという単語が出てきます。

この単語は歯科大学では習わず、教科書にも載っていないので、知らないと恥ずかしい単語ではありません



一方で地上波テレビで取り扱われたり、民間主催の勉強会があるなど、ある程度「名の知れた」概念であることが分かります。

今回TCHがどのようなものであるか歯学博士・臨床研修指導医という見地から調べてみたので、報告・共有したいと思います。





1、TCHの定義を確認する


TCHはtooth contacting habitの頭文字をとったもので、日本語では「歯牙接触癖」と呼称されています。

10冊以下の関連書籍がありますが、その中で共通して以下の論文が引用されており、これがコアな論拠と考えてよいものと思います。

Teeth contacting habit as a contributing factor to chronic pain in patients with temporomandibular disorders.
Sato F1, Kino K, Sugisaki M, Haketa T, Amemori Y, Ishikawa T, Shibuya T, Amagasa T, Shibuya T, Tanabe H, Yoda T, Sakamoto I, Omura K, Miyaoka H.
J Med Dent Sci. 2006 Jun;53(2):103-9.




その中でTCHは「口を閉じたとき、上下の歯が弱い力で接触し続ける状態が日々続く口腔習癖」と定義されています。

この口腔習癖があることで、顎関節症における慢性的な痛みに関係があるのではと仮説を立てています。

(*リラックス状態であれば閉口時、上下の歯は接触しないというのは歯科医師の中では常識です)



この論文では219名の顎関節症患者を対象とした横断研究が行われ、ロジスティック回帰分析が行われています。

いくらかの傾向が発見されたものの、有意差(significant)は見られなかったようです。



またPubMedでのキーワード検索を行いましたが(toothとteethで行った)、関係する英語論文は3件しかヒットしませんでした。それ以外の同じ研究グループの複数の文献でtooth contacting habitという表現は散見されましたが、TCHを中心とした研究ではなく、統計調査の1項目に含まれている扱いでした。特にタイトルにtooth contacting habitを冠する論文は2006年の1件、アブストラクトに単語を含む論文は2件で2012年を最後とし、それ以降の論文発表はありませんでした。(2019年10月30日実施)

成書の参考文献に関しては日本語論文が多く、一般的には日本語論文はエビデンスたる学術論文とは言い難いと考えています。

(*ある程度明確なエビデンスというならば数件のコホート調査、あるいは有意差を伴う大規模な後ろ向き研究が必要と考えています)



つまりこの学説は仮説段階を脱しておらず、日本国内に限定されるもので、世界の研究機関による後追い調査、もしくは概念の共有はなされていないと考えるのが妥当かと思います。



書籍においては著者が自ら仮説段階であること・エビデンスレベルが低いことを認める一方、「TCHはあたらしい学説だから学会ガイドラインにのっていない」と記述があります。

しかしこれはかなり楽観的な表現と感じます。正しくは「TCHは論文が足りず後追いもされてないから今後も学会ガイドラインに載る可能性は低い」としたほうが良いのではないでしょうか。





2、説明しやすいが鑑別診断を忘れてはならない


では書籍におけるTCHはどのように説明されているでしょうか。

これは書籍の著者によって温度差があります。



アカデミックな「源流」に近いところでは、きちんと鑑別診断として副鼻腔炎や神経痛、緊張性頭痛などを挙げて、ある特定の条件の揃った患者に対して向き合っていることがわかります。



しかしアカデミックを離れていくとWSD(楔状欠損)や骨隆起、歯の摩耗、口腔粘膜の圧痕など、必ずしもTCHの診断に結びつかない、他の原因でも起こりうるものを「証拠」として挙げるようになります。



これら様々な仮説的事象を包括して、TCHという一つの筋道で説明するのは医師・患者双方によって分かりやすく魅力的ではありますし、見落としがちなこれら「証拠」をつなぎ合わせ、原因を分析する習慣づけは良いことと思います。

しかしその結論がTCHだけではないことは、しっかり伝えていかなければならないことと感じました。





3、口腔周辺の痛みをTCHと考える危険性


では治療効果についてはどうでしょうか。

アカデミックから離れた書籍やテレビ放映では、TCHを改善することで顎関節由来の慢性疼痛が治り、知覚過敏症も改善し、歯の破折が予防され、頭痛・肩こりも改善する可能性があるとされているようです。



TCHに対する治療法は意識づけを中心とした行動変容療法あるいは筋マッサージがとられるようです。

しかしTCHに対して一定の治療法を設定し、その効果について介入研究をしたという論文はありません
(*日本語論文は十分なエビデンスとは言えないので含みません)



またアカデミックな源流においては補綴学的介入について否定しているのに対し、別の成書では補綴的・矯正的介入を含んだ、ナソロジカルな対応を症例として挙げていました。

私の感覚ではこれは相反するものと見えました。



従来より口腔周辺の痛みについては、顎関節症・副鼻腔炎・三叉神経痛・不定愁訴など多様な原因があり、それぞれ鑑別診断が必要です。

また、こちらは根拠薄弱ではありますが線維筋痛症という概念も提唱されています。



口腔周辺の痛みに関して日常的にそれらと向き合っていれば、TCHというのはある限られた領域、具体的には顎関節症1型・2型のさらに一部に関して取り扱っているものと認識することができると思います。



臨床研修指導医として私が危惧するのは、駆け出し歯科医師がまだ痛みに関して「虫歯か歯周病か」しか頭の中にないうちにこれらの慢性疼痛に出会ったとき、適切な指導を受けないまま原因不明の痛みに関して全てをTCHに原因を求めないかということです。



当然のことながら単なる虫歯による咬合痛でも、それをかばう異常習癖を経て頭痛・肩こりを併発する人はいますし、顎関節症であれば側頭筋の疼痛(頭痛)が現れても全く不思議ではありません。頭痛と倦怠感の主訴から歯性上顎洞炎を診断したこともあります。



これら全ての可能性について、冷静に粘り強く診断をし、それでもわからなければ最も適切とおもう二次医療機関に紹介するのが正しい対応です。

若手歯科医師にはTCHを教える前に、もっと広い視野での診断を教える必要があるのではないでしょうか。





まとめ


以上の通り批判的吟味をしてきましたが、歯科医師および一般市民に対し、当該分野についてフォーカスをあてた功績は大きいと思います。



また介入治療としては行動変容療法か筋マッサージであるため侵襲を与えるものではなく、太古の昔に流行したナソロジーとは違って為害作用(体への不可逆的なダメージ)がありません。

万が一診断が違っていても、悪影響がないというのは良い点です。



一方で行動変容療法は客観的評価が難しいです。

つまり結果的に治らなかった場合、「あなたの努力がたりなかったからだ」と逃げることができるということです。プラークコントロールレコードと違って達成度と治療の成功との関係について論文化された指標も明示されていません。

よってTCHに対する行動変容療法が奏功しなかったら、それに固執せず直ちに別のアプローチを検討する必要があるでしょう。



もちろんこのアプローチでなおった多くの患者さんがいること、またTCHの提唱者の先生方が顎関節症治療の達人であることは疑いようないことと思います。



しかしある治療法をゴールドスタンダードとするには誰がやっても一定以上の効果が得られる再現性が担保される必要があり、そうであれば統計学的に立証できるものと考えております。職人芸的達人技に対して尊敬をしますが、科学的普遍性と区別して考える必要があるのではないでしょうか。



一方で、補綴学分野・顎関節症分野は条件を揃えることが困難で、エビデンスレベルの高い研究を実施しづらいという背景も考慮する必要はあります。

顎関節症の中でも慢性で重篤なものは未だに治療法が確立されていないのですが、それでも目の前の患者さんのために何かしなければならないという現実もあります。

しかしある治療法を「科学的に立証されているから高い確率で治るはずだ」と実施するのと、「実証されていない方法でどこまで治るかわからないけど、それしかないからやってみる」という歯科医師側の心構えの違いは、患者との合意形成において違いが表れてくるのではないでしょうか。



以上から現時点ではTCHについて、一部の患者に対してバチっとはまって解決する場合は確かに存在し、私自身もいくつかのケースで思い当たる節がありますが、日常の診療体系構築としては参考にするとしても優先的に考慮するものではない、というのが私個人の結論です。

以上の論考はTCHを否定するつもりはなく、(提唱者の意向と関係なく)メディアによって拡大解釈されがちな状況を鑑み、自分自身の診療体系構築のためにレビューしたものでありますので、ご理解いただきたく思います。

2019年10月29日火曜日

本日の勉強会は関野先生の「統計について」

こんにちは! 歯医者の中田智之です。



本日は日本歯科大学歯周病学講座の定例勉強会に参加しました。

もともとは別テーマだったのですが、急遽変更で関野先生が統計についてレクチャーする回となりました。



やはりこの統計への理解度が関野先生の論文読解の基盤の一つであると感じます。



一般的に大学で医療統計の授業となると、数学の先生が担当して、難しい計算式が出てきて関数電卓つかってウンウンやるというのが相場です。

しかし、論文読解に関しては計算式までは必要となりません。



メジャーな解析法の仕組みを理解してどういう特徴があれば知っていれば、ほとんどの学術論文を理解し、問題点を指摘することができるかと思います。



その点、関野先生の統計のレクチャーは数学的なめんどくささを抑えて、歯科医師的に必要十分なところを教えてくれるので、超よい講義でした





…しかし卒業して10年、だいぶ忘れてますね!!

流石にANOVAとかt検定はいいんですけど、標準偏差を求めるエクセルコマンド忘れてたり、かなり劣化しています(笑)

(講義はエクセルでの実習付きでした)



Kruskal-WallisとMann–Whitneyのどっちがどっちだったっけ、とか!

現役時代はロジスティック回帰分析までは読めてたのに…。ぐぬぬ。



あと大学院生の「PIはノンパラメトリックではないか」という質問には、イイネを送りたいと思います!
(パラメトリック扱いで一応いいということでした)

2019年10月28日月曜日

私はこうやってブラッシング指導を成功させている

こんにちは! 歯医者の中田智之です。



このところ連続して、「歯みがきは時短で効率的に行えばよく、必ずしも完璧を目指す必要はない」というような内容を発信しましたが、そろそろ出身の歯周病学セクターから怒られそうなので、先手を打って「必要な人の厳密なブラッシング」に関してお話します。





1、「厳密なブラッシング」が必要な人を定義する


既にこれまでのブログでも言及していますが、虫歯はフッ素の効果的使用と普通レベルのブラッシングで予防できます。

2019年のコクランレビューでもフロス・歯間ブラシ・ウォーターピックは隣接面齲蝕の減少に関して根拠がないことを指摘しています。

Home use of interdental cleaning devices, in addition to toothbrushing, for preventing and controlling periodontal diseases and dental caries.
Worthington HV1, MacDonald L, Poklepovic Pericic T, Sambunjak D, Johnson TM, Imai P, Clarkson JE.
Cochrane Database Syst Rev. 2019 Apr 10;4:CD012018. doi: 10.1002/14651858.CD012018.pub2.




高齢者の根面齲蝕も含めて、虫歯予防に関してはフッ素が重要な役割を担っています。

Reversal of primary root caries using dentifrices containing 5,000 and 1,100 ppm fluoride.Baysan A, Lynch E, Ellwood R, Davies R, Petersson L, Borsboom P.
Caries Res. 2001 Jan-Feb;35(1):41-6.





一方、歯周病治療に関しては厳密なブラッシングを実施しなければ治らないことが分かっています。

Recolonization of a subgingival microbiota following scaling in deep pockets.
Magnusson I, Lindhe J, Yoneyama T, Liljenberg B.
J Clin Periodontol. 1984 Mar;11(3):193-207.



上記の論文では「厳密なブラッシング」(英語でstrictly plaque control)(PCRが20%程度)をしなければ、歯科医師が歯石取りを行っても歯周病は治らないことが示されています。



この「厳密なブラッシング」はこの論文だけではなく、良好な治療成績を示す論文の前提条件として幅広く共有されています。

また、1980年代にはPCRを20%程度とすることで質の高い歯周病治療ができることが立証されています。それ以降の論文で1980年代よりも治療成績が悪い場合、PCRの20%付近までの改善が達成できていない場合が多いです。



以上から、既に慢性歯周炎となっている患者さんに歯周病治療をする場合、厳密なブラッシングを達成できなければ、治療効果は得られないし、治療後ただちに歯周病が再発することは明らかです。





2、新しいブラッシング習慣の定着(行動変容)は難しい


ブラッシングというのは習慣です。そしてひとたび定着した習慣を維持するためには、高いモチベーションが必要だというのはご理解いただけると思います。



まず、歯ブラシの当て方だけではなく、歯間ブラシやタフトブラシなどの補助的清掃器具も教えなくてはならないし、一通り教えたあとにブラッシングできていない部分に関して、更に部位特異的な指導を重ねる必要があります。

それだけのことをして一時的に厳密なブラッシング法を習得しても、再指導・再モチベーションをしないと速やかに元のブラッシングに戻ってしまうことが分かっています。

The value of repetition and reinforcement in improving oral hygiene performance.
Emler BF, Windchy AM, Zaino SW, Feldman SM, Scheetz JP.
J Periodontol. 1980 Apr;51(4):228-34.


人間の習慣を変えるのは、患者と医療従事者双方の努力・忍耐・継続が必要です。



つまり、歯周病治療を達成するために厳密なブラッシングを習得してもらおうと考えると、一通り器具の使い方を説明するのに数回かかり、それが正しく実施できたかはさらに次の来院で歯垢染出液を使用してPCRを測定し評価する必要があるということです。

そしてそれは一度達成できたとしても常に時間経過とともに忘却し、もともと行っていたブラッシング習慣へと戻っていこうとするので、この人間の習性とも戦い続けなければならないということです。





3、私はこうやってブラッシング指導を成功させている


ここから先は私の経験的な記述となります。

以上を踏まえて、歯ブラシ習慣の変更という行動変容療法は、言うはやすし行うは難しをまさに具現化した、非常にハードルの高い取り組みであると認識する必要があります。



私が歯周病認定医(現在)として専門的歯周病治療を行う場合、以下の手順で行っています。



1、基本治療フェイズは週1ペースで行い、基本的に毎回歯垢染色液を用いたPCRを測定する。
PCR<20%を達成するまでは、あまり感覚を空けずに集中的に指導したほうが良い。
概ね1度の指導で10%ずつ改善するのが過不足ないペースである。
回数はSC+SRPで最低8回を要する
また、PCR測定とブラッシング指導は衛生士主体で行うが、PCRの数値と使用する補助的清掃器具については毎回歯科医師がかならずレビューする。 



2、外科フェイズになると処置部位のブラッシング中止と、歯肉形態の変更があるので多くの場合PCRは一時的に悪化する
また手術創があるので歯垢染色液も使用しづらい。



3、補綴も含めた動的治療終了後、もう一度最初から取り組むつもりでPCRの測定を含むブラッシング指導を行う。
このブラッシング指導は最低半年間、毎月1度PCRの測定を含めて行う
半年後の検査をメンテナンス開始時と位置付け、以降PCRが維持てきているようなら3か月に1度の来院とする。


正直めっちゃたいへんですが、これがもともとブラッシングが不得意だった人に対してPCR20%前後を維持するのに最低限必要な手順だというのが私の意見です。





まとめ


以上から、「厳密なブラッシング」を確立するのは患者も衛生士も私もめっちゃたいへんなので、本格的な指導は本当に必要としている人に限るというのが私のスタンスです。



全ての患者に対してPCR20%前後を達成しようというのは理想論であり、衛生士が過酷な環境になっているか、達成できない患者が声もなく去っているだけ、またはその両方かもしれません。

ある先生の言葉を拝借しますが、「PCR20%達成できる患者だけをふるい分けて治療するというのは、マーケティング的には正解かもしれないが、医療としては片手落ちである」というメッセージを、私は重く受け止めています。



全くブラッシングできていない患者さんに、普通レベルのブラッシングを教えるのか。

普通レベルのブラッシングができているのに虫歯になってしまう患者さんに、フッ素の使い方をおしえるのか。

厳密なブラッシングを達成できなければ治療が不可能である歯周病患者に対して、PCRを含めた高度な行動変容療法を実施するのか。



患者ひとりひとりの状態に応じた、最適かつ最小限の、コスパが最大となる方法を追求する。
(コスパの言葉には、時間・金銭・労力・効果・継続性の意味を含む)

これが真のブラッシング指導であると私は考えています。

2019年10月23日水曜日

合理的なブラッシングを考える

こんにちは! 歯医者の中田です。



ところで歯医者にいったら「もっと歯ミガキしなさい」と挨拶のように言われますよね。

これ、患者さんにとっては割とプレッシャーだと思うんですよね。



実は最新の科学に基づくと、必ずしも全員がそこまで厳密なブラッシングが必要とは限らない、という話はこれまでのブログで書いてきました。



そのうえで私は歯ミガキに関して、大まかに分けると患者の先天的素因によって2つの最適解があると考えています。





1、虫歯(齲蝕)予防と、歯周病予防をわけて考える


まず、歯ミガキで予防したい口腔領域の疾患は2つあって、虫歯(齲蝕)歯周病です。

この2つの先天的素因(以前の記事で解説)予防法は違うので、分けて考える必要があると考えています。



まず虫歯(齲蝕)予防法に関して以前にブログで書いた通り1000ppm以上のフッ素を応用するのが最も効果的です。



かなり端折っていうと、並み以上のブラッシングができていれば、それ以上厳密にブラッシングしても虫歯予防効果はないことがわかっています。

古くはプラークコントロールの重要性がインフレした時代があって、病状を問わず全ての患者さんに歯周病治療レベルの厳密なプラークコントロール(例えばPCR = 20%以下)を指導したり、未就学児童を含めて全年齢を対象にしてフロスの使用を励行したり(Floss or Dieキャンペーン)しましたが、虫歯予防の観点ではあまり意味がないことが分かっています。

詳しくは上記ブログをご参照ください。





一方歯周病の予防法に関しては難しいです。

歯周病はSilent Diseaseと表現されるように、深刻な状態に進行するまで自覚症状がほとんどないという特徴があります。



恐らく半年もしくは年に1度、定期的に歯周組織検査を受ける以外に予防する方法はないと思われます。



厳密なブラッシングをしていれば予防できるのではないか、という意見もあると思いますが、既に述べた通り歯周病は遺伝的影響による感受性の個人差が大きいです。

つまり、全ての人に歯周病治療レベルのブラッシングを求めるのは非効率的だし、逆に感受性が極めて高い人はどんなに磨いても進行してしまう可能性があるということです。



つまり、歯周組織検査で「現在歯周病になっていない診断を受けること」は、「今日までのブラッシングが自分の体にとって十分なものであった」ことの証明です。

また歯周病は早期発見できれば(専門用語で表現すると、歯周炎が確立する前の歯肉炎なら)完全に治癒できる可能性が高いというのもあります。



かの有名なホリエモン氏は定期的な歯石取りを励行していただいているようで大変ありがたいのですが、科学的には歯石取りよりも検査のほうが健康維持にとって重要かもしれない(定期的な歯石取りそれ自体は予防に寄与していない可能性がある)とまで言われています。

Routine scale and polish for periodontal health in adults.
Lamont T, Worthington HV, Clarkson JE, Beirne PV.
Cochrane Database Syst Rev. 2018 Dec 27;12:CD004625. doi: 10.1002/14651858.CD004625.pub5

(以下オタクな人だけ拡大して読んでください)
上記論文の結論に関しては歯科医師の間でも賛否両論あります。
私は歯周病治療の経験から、ブラッシングを改善するという行動変容を起こすには一週間ごとの通院を5回以上し「方法の理解」をさせたのち、6か月間毎月PTCを測定して「習慣として定着」させるという方法をとっています。
つまり本論文にある通り半年に一度通院する程度ではブラッシング習慣は変化しないと考えているため、本論文を支持しています。
一方でブラッシング習慣を変化させる必要があるのは、虫歯が定期的に発生する者と、歯周病の者に限られると考えています。また習慣を変化させ、それを定着させるというのは極めて高度な医療行為で、医師だけでなく患者の負担が大きいものと考えています。
そうであれば、ブラッシング習慣の変更という非常に負担が大きく難易度の高い医療行為は、それを必要としている患者に重点的かつ確実に行うものであって、漫然と効果のない方法を実施するべきではないと考えています。





2、合理的なブラッシング2案


以上から、合理的なブラッシングは以下の二つの選択肢になります。

A:厳密にみがいてフッ素洗う口
B:フッ素入り歯磨き粉をつかって3分以内にブラッシング



これまで日本では(諸外国が既にBがゴールドスタンダードとしているのに)Aタイプ的なブラッシング指導が行われることが多かったです。

これは努力好きで、それが報われると信じる国民性ゆえかなと考えています。



すなわち、小さなヘッドのブラシで、細かく丁寧にみがき、場合によってはフロスを使いましょうというのはAタイプの方法論です。

加えて、歯みがきペーストをつけるとブラッシングできているかわからない、泡だらけになって長時間歯みがきできないだろう、という指導もよくききますが、これもAタイプ(完全なブラッシング)を前提にしていると考えられます。



しかしどんなに磨いても虫歯予防はサチります。(頭打ちになる)

厚労省
歯みがきによるむし歯予防効果(予防法)

そこで何らかの方法でフッ素を作用させるのですが、フッ素入り歯みがきペーストの場合は再びブラシを手に取り刷り込まないとならないため、フッ素入り洗口剤を使用するのが合理的です。



このようなAタイプでの完全なブラッシングは虫歯予防効果も歯周病予防効果も非常に高い効果を発揮するでしょう。

しかし以下のデメリットがあります。

1、完全なブラッシングが実際にできているかどうかは、歯科医院でPCRを測定しない限り不明である。おおむね20%以下で「厳密なプラークコントロール」と言える。
2、厳密に行うためには、歯間ブラシやデンタルフロスを使う必要があるかもしれない。
3、時間がかかり、10分以上必要となる場合もある。
4、ブラッシング後に洗口剤を使用するという習慣は定着しづらい



このように、Aタイプのブラッシングは持続が難しいというのが最大の欠点です。

歯科医院に通院している間Aタイプを習得しても、通院が終わったら継続しなくなってしまった、ということはおこりがちです。

予防法は一生継続しなければ意味がありません



しかし虫歯になりやすい者や、歯周病治療をした者に関しては、Aタイプの「厳密なブラッシング」をしないと健康を維持できないことが分かっているため、患者と医師の双方に高いモチベーションが生まれます。



例をあげると、10代~20代で虫歯で苦労した経験のある者は、医師が強く言わなくてもAタイプの厳密なブラッシングを自発的に行っていく場合が多いです。

これは虫歯の再発に恐怖心があるためで、この場合は生涯にわたってモチベーションが維持されます。



また別の例では、歯周病の手術が終わった後、モチベーションが低下して数年間経過し、再来院時に歯周病が再発してくる場合です。

この時は歯周病治療にはメンテナンスが必須であることを十分に説明してあるので、そのことを実体験を伴って理解し、その後モチベーションが維持されることが多いです。



以上からAタイプのブラッシングは、上記の「虫歯か歯周病のリスクが高い者」に限定して確実に実施していくもので、「特にリスクがない者」に対して広く一般的に指導する方法ではありません。

そうであるのに全員にAタイプでブラッシング指導しようとするから、冒頭のような通院のたびに「もっと磨きましょう」というような、間延びした問答が繰り返されることになります。



もちろんAタイプのブラッシングを既に行っている方は、それは素晴らしい習慣なので継続するのが良いと思います。

急にやめると虫歯や歯周病になるかもしれないので、現在の生活習慣を継続するのは重要です。



私が強調しているのは、歯科医師が全ての人にAタイプで指導するのは非生産的であるということです。

そういうわけで、特にリスクのない、大多数の一般市民に歯科医師が推奨すべきなのはBタイプです。



Bタイプのブラッシング方法については既にまとめているので、そちらをご参照ください。

また3分でブラッシングするためには、歯みがきのヘッドを大きいものにしたり、効率的なブラッシングができる形状のものを選ぶ必要があります。

それらは今後ご紹介しようと考えています。
(下図はBタイプのブラッシングをしている私が使用している歯ブラシです。)







3、予防は無限に拡大する


たとえばAのひとが5分かけてみがいていたとすると、1日の差は2分、一日2回365日磨くと1460分。つまり24時間20分です。

つまり1年間で1日分、ブラッシングに時間を費やしていることになります。



繰り返し主張していますが、予防にはゴールがありません。

だから予防法、健康法は、やればいくらでもやることができる、肥大化する性質を持ちます。



一般人が自主的に必要性を感じて予防行動をとり、自然に飽きてしまう、というのは自由です。



しかし医療として予防を推奨する場合には、最高のコスパを追求するのが正道だと考えています。

コスパという言葉には、時間・金額・労力・効果・継続性といった意味合いを含みます。



生活習慣の改善と定着というのは、既に述べた通り非常に高度な医療行為です。

だからこそ、なるべく手間を減らす・道具の変更で解決するといった、患者の労力を減らして努力させない 定着しやすい行動変容を医療人は心がけるべきと考えています。