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2020年3月31日火曜日

歯科医師国家試験の現状と所感

こんにちは! 東川口の歯医者 中田智之です。

先日発表された歯科医師国家試験の合格率に関してですが、めちゃくちゃ詳しく分析している歯医者ブロガーがいるのでご紹介します。


(続)とある最底辺歯科医師の戯言集
第113回歯科医師国家試験結果速報(欅坂)
https://spee.hatenablog.com/entry/exam113_result2



承前として歯科大は6年制ですが私の受験する2年ほど前から合格率が一気に引き下げられており、私立歯科大学は国家試験合格率に関して調整を余儀なくされています。

この歴史の転換点の生き証人である私の想い出としては、5個上の先輩(入学時部活OB)はほぼ全員卒業してほぼ全員国家試験合格してたのに、自分たちが受験する時には既に60%後半となっていて、非常に厳しい戦いになっていました。


そしてそのほぼ合格した5個上の先輩というのは、私が国家試験を受ける頃にはボチボチ中堅の教員になっていて授業を担当し始めているのですが、めちゃくちゃ温度差があってお前らに教わることなぞ何もないわ!と感じていた記憶があります。

教授・准教授・講師の方々は危機感を共有して真摯に取り組んでくださっていたことを付します)
国家試験なんて数か月本気で勉強すれば受かるしとか授業で発言した当時助教は許さん



その後10年近く経過しますが、現状はさらに厳しくなってきました。

(参考)歯科医師国家試験
https://ja.wikipedia.org/wiki/歯科医師国家試験

国家試験合格率の低下は、とうぜん大学受験先に選ばれるかの判断基準になるわけで、国家試験合格率に反映される前の卒業試験である程度絞ろうというのは成り行き上仕方ないことかなと思います。


しかしそれを受けて厚労省が出願者数(出願は卒業試験の前)を公表すると、今度はそのもっと前で絞るようになり…。

というあたりを織り込んで実態として示したのが、上記ブログの「裏の合格率」です。



おい母校!!!
(日本歯科大学)

やっべーだろ… どういうことだってばよ…orz


日本歯科大学というのは世襲歯科医を多く輩出し、新潟校と2校もつことで業界内でもOBが多かったのですが…。

たぶん、今後崩れていくんじゃないですかね。


世襲で歯医者になろうと思っても、相対評価 = 実力主義の国家試験に生き残れないわけです。

とはいえ偏差値55程度のところでの背比べなので、弁護士試験のように難関という印象ではありません。

(参考)医学部偏差値比較比較ランキング
https://医学部.jp/kiso/dentistry.php


歯学部の勉強は高校までの知識はほぼ役にたたないので、それまで大学入試で偏差値が高くでも大学生活内でどれだけ真摯に勉強したかが問われると思います。

だから医学部志望で滑り止めで歯科に来た人や、親に強制的に家業を継げと歯学部に入ったような人は多分厳しいのではないでしょうか。


私も歯医者は家業を自認して、実際4代目で、だからこそ歯科の発展の歴史や業界全体のありかた等を(勝手に)考えたりするのですが、子供たちは主体的にやりたいと言わない限り、別の進路を取ったほうがいいと考えています。


などなど考えつつ、今年度は国家試験合格ホヤホヤのニューカマーたち、臨床研修生大募集中です。
大学は5月からですが、臨床研修は通常通り実施されるようなので、彼らに届くスピーチを練っておかねばと思います。


2020年3月18日水曜日

歯科医科連携より歯科歯科連携の深堀を

こんにちは! 東川口の歯医者 中田智之です。



4月からの保険点数改定で歯科医科連携はさらに強化されました。

術後の口腔ケアなどが頭頚部癌手術後の肺炎を抑えるなどというデータも出ており、周術期口腔管理は歯科医師の重要なミッションになってくると思います。



クリニックにかかりつけ歯科医として継続的な口腔管理を求められているのは明らかです。今回の点数改正では歯科疾患管理料の算定基準緩和などから、行政側のメッセージは明確です。

そうであるならば、このような照会があった場合どのような返事をするのが望ましいか。他科の考えなどにアンテナをはっていくのは重要なことと思います。



私が周術期口腔管理を受け取ってよく見かけるのは、動揺している歯に関して気管挿管の際に抜けてしまうのが怖いという麻酔医の意見です。

気管挿管の作業中ということはすなわち意識は消失しており、喉頭を空けている状態なので、抜けた歯はそのまま肺に滑落していきます。回収は外科手術を伴うことになり、重要な論点であると認識しています。



大前提として保存不可能な歯については、手術の感染コントロールの観点からもあらかじめ抜歯していくのが望ましいことです。しかしそのような状態でも抜かずに温存しているのにはそれなりの患者の想いがこもっていることも多く…。

歯科医師にとって、気管挿管は臨床研修で模型でトレーニングした内容です。

この揺れ方は気管挿管時に抜けてしまうリスクが高いのか、この程度なら意外と抜けないよと言えるのか、臨床歯科医の肌観をもって回答できるといいのではと思います。医療従事者と患者のイラスト
さて医科歯科連携は強化されていますが、まったく進んでない分野が歯科歯科連携です。

歯科は単科という見方も一理あますが、矯正治療やインプラント治療をはじめ歯科の中でも専門分野があります。

特に難易度の高い根管治療や義歯補綴、当然のこととして歯周病治療など、ベーシックな部分は全歯科医師が担当しつつも、専門性がないと問題解決に至れない部分も確実に存在します。

それは歯科医師内でも十分認識しているのに歯科医と歯科医の間の連携が進まず、なかなか治療効果のでないまま患者の抱え込みなどに繋がってしまうのはなぜでしょうか。





1、連携のルール作りが不十分


例えば矯正治療や智歯抜歯などというものは、必要な部分に関して専門医や二次医療機関を紹介し、治療が完了したら元の歯科医院に戻るというルールがしっかりできています。

私も一次医療機関(地元のクリニック)から紹介を受ける側である二次医療機関(大学病院)で診療していた経験としては、紹介状で依頼された内容以外は一次医療機関に無断で手を付けてはならず、治療完了したら必ず元の歯科医院に戻すというルールが徹底されていました。



このことを知っているし、立地的にもそんなに遠くないので、私は必要性を感じたら比較的気軽に大学病院への紹介を提案しています。

それは治療が終わったら自分のクリニックに患者さんを戻すのがわかっているからです。

あと大学病院の一部エース以外そこそこヒマしてるのしってっから



これがあるクリニックが、専門性のある近所のクリニックに紹介するとなると心理的ハードルはかなり高くなります。

開業歯科医全員がわかっていることとして、歯科医院に初めて入るときのハードルが高く、一度いってしまえば同じ歯科医院にはいきやすくなるというのが人間の心理です。

この心理が働くからある程度きちんと対応すればかかりつけの歯科医院として一定の顧客を持つことができます。

これは美容院・理髪店などでも同様で、歯科医師というのが専門性よりも属人的な縁故で選ばれているというのは事実だと思います。



そんな中で、近所の、しかも専門性のある歯科医院に紹介するというのは、やはりハードルの高いことだと思います。

紹介先が一次医療機関ということであれば、紹介状がなければ初診・再診料が高くなるなどといった負のインセンティブもありません。(二次医療機関=大学病院はそれがあるということです)



2、ルールだけでは人間心理はどうにもならない


以上から、たとえば現在掲示可能な専門医の適用を拡大して、専門医に対して診療情報提供に関する保険点数を付与し、専門医側も治療終了後にもとのクリニックに戻すようインセンティブをつけるということはできるでしょう。

参考:医療に関する広告が可能となった医師などの専門性に関する資格名などについてー厚労省
https://www.mhlw.go.jp/topics/2013/05/tp0531-1.html

しかし、患者が自発的に紹介先のクリニックに定着してしまうのは防げないため、そのような仕組みを導入してもどの程度実効性があるか難しい部分だと思います。



そんなこと言わずに患者第一でいきましょうよ、という掛け声はもちろんのことですが、事前に起こりうるトラブルを想定してしっかり仕組みを作るのは重要だと思います。

何かいいアイデアがあればいいのですが…

知恵の出しどころだと思っています。


2020年3月12日木曜日

[感想] 「劇場版 SHIROBAKO」みて明日から頑張ろうって思った

こんにちは! 東川口の歯医者 中田智之です。

先日行ってきました劇場版SHIROBAKO!

アニメ制作現場を赤裸々につづった話題作の、劇場版続編です。



さて内容に入る前に一つ話題がありまして…。


新型コロナのせいか知らんけど、30分前にチケット購入したら全席空いていた


まぁ平日の昼間にアニメ映画みるってどんな層よとか言われそうですが、私は火曜日休みなので、非難されるようなことは何もしていない



開幕までには10名ほどでしょうか。

笑いのポイントが完全に「おわかりになっている」精鋭たちが集いました。



さて内容に関してですが…



まさかの敗北スタート(@_@)



もっと高みへ進む宮森たちをみたかった!っていう点では残念でしたが、振り返ってみれば「仕事ってそううまくいくときだけじゃないよね」というのがSHIROBAKOの通奏低音。

そんな中でも主役5人がそれぞれ一歩ずつ前に進む姿が描かれました。

この地味さ…現実的諦観のようで、現実を鑑みると割と大躍進というリアリティの塩梅がSHIROBAKOらしいですね!



一期では業界に「入っていった」宮森たちが、二期では「根付いた」、そして劇場版ではそれぞれに後輩や部下をもち、「ひとり立ちした」姿が描かれたと考えると、一歩ずつ前に進んでいる感じがあります。

あ、りーちゃんは部下いないけど。でもその人からそのセリフを言われたら、文字書きとしたらこれほど嬉しいことはないだろうなぁ。



そしてお仕事系作品として、多くの言葉が胸に刺さります。

「好きなことして働いて幸せだね」「(ブチ切れ)」

「好きだからもいいけど、独善的な目的がないと続かない」

なるほどですね。

どちらもうろ覚えなので、だれがいったか、正確なセリフはどうだったかはお楽しみ!



来場者特典のミニ色紙ではなんと! 主役みゃーもりをゲット! ここは運の使いどころだったのだろうか!? 物欲センサー怖いな!



ということで息抜きしてまいりました。

明日から宮森たちに負けないように、歯医者という仕事を通して何をしたいのか、見失わないように頑張りたいと思います!

2020年3月7日土曜日

そいういや電話診ってあったな - 新型コロナ所感

こんにちは! 東川口の歯医者 中田智之です。

新型コロナに関する国会答弁にて、安倍首相から「電話診など…」という発言がありました。



そういやあったな電話診…!!

我々としてはその位の存在感の電話診なのですが、改めて調べてみました。


初診料について ー 医療事務サイト
https://iryoujimu1.com/iryoujimukouza1/iryoujimukouza1-2.html


新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その2)ー 厚労省
https://www.mhlw.go.jp/content/000602230.pdf


新型コロナウイルス感染症対策のための電話診療による処方箋発行について ー 独協医科大学埼玉医療センター
https://www.dokkyomed.ac.jp/hosp-s/news/1359

かいつまんでいうと…

1、初診には算定できないので、新型コロナにおいて自宅待機すべきか来院すべきかアドバイスをする「オンライン受診勧奨」の代替にはならない。再診患者のみが対象となる。

2、医師が直接対応しないといけないので医師を拘束する。医師は時間単位あたりに何点の保険点数を上げるかという形の報酬なので(ガメついかどうかという話ではなく)電話で時間をとられることには負のインセンティブがかかっている。

3、保険証確認や一部負担金徴収などが煩雑。もし今後初診にも電話診を拡充するとして、いつ一部負担金を回収するのか。あときちんと厚労省から保険者に指示だしておいてくれないとレセプト査定されがちな項目だと思う。


オンライン診療の区分については下記記事内参考リンクをご参照ください。


以上から現状電話診の効果については、慢性疾患をもつ高齢者の病院での感染を抑制する効果はあるとかんがえています。

上記属性の患者さんは、新型コロナウイルス感染の重症化リスクの高い方々でもあります。

定期的な病院受診をしている方については、積極的な利用を呼び掛けるのが望ましいのではないでしょうか。



一方で私がアゴラ記事で提案したような事前診査・スクリーニング的な役割を担うことはできません。

既に電話診があるから大丈夫、というのではなく、初診患者にこそ対応したオンライン診療の拡充が望ましいと考えています。


過去のまとめ記事一覧はコチラ。











今後も状況を十分に注視して行きたいと考えております。

2020年3月5日木曜日

新型コロナに関する発信の反響まとめ。SNS時代の公衆衛生

こんにちは! 東川口の歯医者 中田智之です。

ここ数回は連続して新型コロナウィルスについて情報発信してきました。
だいたい言いたいことは言いつくしたので、反響などをまとめて総括しようと思います。


新型コロナウィルスについてマトメはこちら
https://nakadashika.blogspot.com/2020/02/blog-post_88.html


小学校休校要請について - 新型コロナ所感
https://nakadashika.blogspot.com/2020/02/blog-post_29.html


https://nakadashika.blogspot.com/2020/03/pcr.html

医療インフラへの負担を軽減する遠隔医療に関してはこちら
https://nakadashika.blogspot.com/2020/02/blog-post_27.html


[アゴラ版]いますぐ実現可能な遠隔医療。患者相談サイトの経験から
http://agora-web.jp/archives/2044503.html



インフルエンサーのイラスト(男性)
ブログで発信しようと思った理由は以下の通りです。

1、ツイッターで情報交換するときはいつもそうですが、ブログ記事などのまとまったコンテンツをリンクできると140字制限を大幅に超えた発言ができるから。

2、厚労省の資料はどっからどうみても一般人が正確に受け取れるとは思えないので、患者説明で培った情報のダウンスケールが役立つと思ったから。

3、政府やメディアは「不顕性も含めて全国民罹患するのはまちがいない」とか「今後も毎年発生するから平均寿命は短くなるだろう」とか、市井がザワつく発信はできないから、言いたい放題いえる在野の医療人が「そういう考えもあるかもよ」的な発信をして、正しい世論形勢の一助としたかったから。

4、アゴラで書くのもよかったけど、微生物学講座所属ってだけで広域医療の専門家ではないし、常識的な医療人であれば全員同じ結論に至る内容にしかなりません。アゴラは官僚や政治家の目に留まることに価値があるので、本件の内容は官僚なら当然理解しているものであり、目新しいものにはならないから。

5、遠隔医療に関してだけは、オンライン患者相談の経験者である自分にしか書けない希少性があるので、アゴラ向きだと考えたから。


というわけでSNS発信をしていたら、人生で初めてバズりました

きっかけは衆議院議員 足立康史先生に評価していただけたことだと思います。(そのまえに参議院議員 音喜多駿先生にリツイートしていただけたから届いたのだと思います)



そういうわけで、このような状態になりました↓



めっちゃうれしかったです。ありがとうございます。



さらに参議院議員 音喜多駿先生の動画に、私のツイートを反映したと思われる発言がありました。







こちらはフリーランスに関してと、遠隔医療(とくに遠隔受診勧奨に関して)


ただしネタ元の某フリーアナウンサー氏は同じオンラインサロンのメンバーなので、もともと同じ問題意識は持っていたのだと思います。ただ言語化の段階で影響はできたのではないかと勝手に思っています。


本日づけの数値としてとしては以下となっております。

PCR検査 1700PV
小学校休校 8400PV
新型コロナマトメ 460PV
甲状腺癌 190PV


今後も動向次第では新型コロナに関する発信もあると思いますが、とりあえず現状の問題意識は全てアウトプットしました。

このブログも次回からは平常運転に戻ると思います。


その中で感じたのは、やはり時季を鑑みた公益性の高い記事のニーズは高いということかなと思います。

人生でたぶん一番読まれた記事はコレですしね…。マクロ経済の専門家でもなんでもないのに、前澤氏の笑顔で読まれたとしか…。



そういうわけで、あまりニーズのない歯科情報の発信はしっかりやりつつ、自分の専門知識が活かせる公益性の高い話題に関しても、今後もたまには発信していこうと思います。

それがアゴラかブログかは、新規性があるか、誰でも書けるただのマトメか、という部分で決めようと思います。


このような形で様々な発信をしているのは、元経産官僚 宇佐美典也氏のオンラインサロンに参加していた時に、宇佐美氏が今後の進路を悩む中でロビイストとして生きるという道を選んだ瞬間を見ていたことに依ります。

民間でありながら現場の知見を活かして政策提言などをしていくというもので、個人的には大きな可能性を感じました。

宇佐美氏のような立派なロビイング活動なんてできやしないし、するつもりもないですが、行政の近いところで好き勝手言う人って重要かなって考えているところはあります。


今後も応援よろしくお願いいたします。


(蛇足)あんまり読まれなかった渾身の記事↓



2020年3月2日月曜日

PCR検査について - 新型コロナ所感

こんにちは! 東川口の歯医者 中田智之です。


2月29日の安倍首相の発言から、PCR検査の強化の方針が示されました。

本件は「医師が必要としたものに関して」という発言だったので、希望者全員が検査を受けられるというものではないと捉えています。

このPCR検査に関して情報が錯綜しているので、マトメをしたうえで所感を示したいと思います。


新型コロナウィルスに関する今までの記事は下記リンクからご覧ください。

新型コロナウィルスについてマトメはこちら
https://nakadashika.blogspot.com/2020/02/blog-post_88.html


小学校休校要請について - 新型コロナ所感
https://nakadashika.blogspot.com/2020/02/blog-post_29.html


医療インフラへの負担を軽減する遠隔医療に関してはこちら
https://nakadashika.blogspot.com/2020/02/blog-post_27.html


[アゴラ版]いますぐ実現可能な遠隔医療。患者相談サイトの経験から
http://agora-web.jp/archives/2044503.html



1、PCR検査は治療法の決定に関与しているか


臨床医学的には検査というのは結果によって治療方針を決定するものであるというのが前提です。

つまり検査結果がAであれば1番の治療法で、Bであれば2番の治療法というように、検査結果と治療法が密接にリンクしているのが重要で、保険収載に関する重要な論点であると考えています。

いいかえると、検査結果がAとでてもBとでても治療法が変わらないならば、少なくとも保険収載し幅広く実施する必要がある検査とは言えないのではないでしょうか。



2、軽症患者が隔離入院措置となることで病床数が不足する


まず肺炎を発症していない軽症者に関して、コロナであろうただの風邪であろうと自宅待機という方針は変わりません。

うち80%は軽症のまま改善し、肺炎にはなりません。



このとき軽症者にPCR検査を行って陽性判定がでると、その人は入院する必要がでます。

参考:指定感染症及び検疫感染症について
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000589260.pdf


現時点で死亡者を増やさないための最大の懸念事項は病床数です。

参考:新型コロナウィルスとの長期戦にあたって心得るべき5つのこと
http://agora-web.jp/archives/2044507.html


軽症者は仮に新型コロナウィルス感染者だとしても、80%は自宅療養でも自然治癒します。

しかし肺炎患者は新型コロナウィルス感染者でなくとも、入院にて治療しないと死亡する可能性があります。

武漢で起こった混乱は、軽症重症問わず病院受診したことにより、肺炎患者が適切な医療を受けられなくなったためという見方もあります。


つまり、軽症者をPCR検査することによって新型コロナウィルス診断することによって二類感染症の規定により入院させる必要が生じ、空き病床がなくなり肺炎患者が死亡するという逆転現象が起こる可能性があると考えています。



3、感染拡大防止の観点から


労働者あるいは雇用者目線からは、病院の診断をうけることで欠勤の正当性が認められるため、体調不良があった場合はまず診断書を書いてほしいというニーズがあることは理解します。

そのような労使関係の考え方に基づき、PCR検査を幅広く実施することで、感染拡大防止につながるという見方があるものと推測します。

しかし現時点では市中に一定数の不顕性感染者あるいは極めて軽症な感染者が日常生活を送っていると考えるのが正しい認識だと考えています。

このことは2020年3月1日の厚労省の発表にて「国内の複数地域で、感染経路が明らかでない患者が散発的に発生」していることからも明らかです。

参考:新型コロナウイルス感染症について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html#hasseijoukyou


以上から、PCR検査によって感染拡大を防止できる段階は既に通り過ぎてしまったと考えるのが良いでしょう。

国民一人一人が、もしかしたら既に不顕性感染しているかもしれない、現在感じている体調不良、あるいは花粉症と思われるものは、もしかしたら新型コロナウィルスかもしれないと認識し行動する必要があるのではないでしょうか。



つまり理想的には全国民が人間と接触しないよう努める、ということになりますが、個人あるいは国家の経済的な課題を鑑みても、現実的にはこれは不可能です。

そうであれば前述の通り医療機関がオーバーフローしないように、PCR検査の結果を問わず、わずかでも体調不良を感じるものは欠勤の上自宅療養すべきだと強調します。

これは被雇用者だけでなく、雇用者側の意識としても重要だと考えています。



4、肺炎患者のPCR検査について


現在聞き及ぶところによると、肺炎の診断を受けたが別の病原体によるものと特定されPCR検査を受けられなかったため、不安なので別の医療機関を受診する、ということが発生しているということです。

これは極めて危険な行為をしています。

肺炎患者は入院治療が必要で、新型コロナでなくても、直ちに入院し安静にしなければ命に関わる可能性があります。


確かに肺炎患者に対し、新型コロナであると診断がつくことで、現在実験的に投薬されている抗RNAウィルス薬を使用できることになります。

しかし抗RNAウィルス薬の効果は治療の中心的役割を果たしているとは言えず、万が一新型コロナ感染者であっても、従来の肺炎治療で治癒することが分かっています。

参考:医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド 第1版(日本環境感染学会)
http://www.kankyokansen.org/uploads/uploads/files/jsipc/COVID-19_taioguide1.pdf


原因を知りたいという気持ちは理解しますが、肺炎患者は原因特定よりも治療を開始することが必要な場合もあるいう見方も必要ではないかと思います。



まとめ


以上からPCR検査体制強化に関しては、安倍首相が発現したとおり医師が必要と判断した場合で十分だし、その部分に限って保険適応などの対象となる可能性があり、同時に検査を受けなかったことによる患者の不利益も大きいものではないと理解しております。

一方でどうしても検査を受けたいという想いに関しては理解できるので、そういったニーズに応えるためには民間検査機関に於いて保険外自費サービスとしての検査を拡張してはどうかと考えています。

医師不在の自己検体採取キットを使用するとして、おそらく1件につき1~3万円ほどで実施可能とみております。

これは既に始まっている新型コロナによる経済の失速に対して、わずかながらでも景気刺激策になるのではと考えています。


医療上の検査の必要性については既に論じた通りなので、もしこれを実施する場合には陽性反応がでても軽症の場合は自宅療養という方針を徹底し、感染症法に関しても何らかの修正を加える必要があると考えています。



原因のわからないまま自宅療養という点について不安があるのは理解できますが、上記ガイドラインを参考に医療リソースの適正利用にご協力をお願いしたいと思います。

また自宅療養の際は急激な状態の変化に十分注意し、必要と思われたら直ちに医療にアクセスするというメリハリが重要だと考えております。

1つ誤解を生みやすい点について、「強いだるさや息苦しさ」は「4日以上続いている」に優先しますので、それらの症状を自覚した場合はそれ以上の待機をせず、直ちに医療にアクセスすることが重要ではないでしょうか。


今後も動向を注視していきたいと思います。