虫歯・歯周病予防についてフロスをつかったほうが良いか、という質問を多くいただきますが、私は「特別な理由がなければ必要ない」と答えています。
近年発表された多くの論文で、フロスの使用が虫歯予防につながる可能性は小さく、統計的に有意な差が見られないことが示されています。
【フロスに効果はあるのか?】
— 気まぐれ歯科情報ななめ読み (@Moody_Dent_Info) January 25, 2021
・システマティックレビュー
・プラーク、歯肉炎に対してのフロスの効果は認めなかった
・歯科関係の学生を対象とした研究でも効果を認めないので一般ではさらに難しい
・質の高いフロスを患者が行える事なのかを患者さん個人単位で判断すべきhttps://t.co/urZnkIMFQ9
かつて(1990年代)は「フロス(を使う)か(歯を失って)死か」とまで言われたフロスですが、その役割はいまやフッ素の適正使用、もしくは歯間ブラシに譲っており、一般人が予防目的でフロスを使用する必要はないかもしれない、というのが最新の見解になっています。
フッ素や歯間ブラシの適正使用は長くなるので別の機会に論じることにします。フッ素は万人に進められますが、歯間ブラシは慎重な応用が必要なため、いまここで判断せず、かかりつけの歯医者さんに聞いてみてください。
さて、ではなぜフロスは予防効果があまり見られないのでしょうか。
その理由は一般人がプロのレクチャーなしに適正使用するのは極めて困難であるためとされています。
フロスはただ歯と歯の間を通過させるだけではダメです。下記動画をご覧ください。
(参考引用)サンスターより
動画では1つの歯と歯の間に関して、2つの歯の面を意識して使用するように説明されています。
実際には歯の内側と外側では面の角度が違うため、1つの歯と歯の間に関して、4つの面を意識して使用しなければなりません。
そうなると全ての部位に対してフロスを適正利用しようとすると、26(歯と歯の間の数)×4(歯面)=104(歯面)を意識しなければなりません。これは無理です。
私がフロスを患者さんに指示する場合は、例えば歯と歯が重なりあってブラシが届かない部位など、数か所程度に関してキッチリ使用してもらいます。
逆に普通に歯が並んでいるのであれば、そこは歯ブラシを適切に使用すれば、プラークコントロールによる予防としては十分と考えています。