歯科衛生士による局所麻酔ですが、もちろん歯医者からも批判の声は上がっています。
その理由は主に2つで、一つはこれまで麻酔刺入時になるべく痛くないように創意工夫を続けてきた真面目な歯医者たちです。
しかしこれに関しては麻酔がヘタな歯医者もいる中で、たまたまカンがよくてうまい歯科衛生士も登場するだろうということで、規制を維持する理由にはならないと思います。今まで痛くない麻酔をウリにしてきた歯医者は、そのストロングポイントを維持するために、自分の培ってきた知見を歯科衛生士に教えることだってできるでしょう。
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もう一つは業界としては現実的な理由として、独占業務の堅持です。なるべく多くの仕事を独占業務として維持していくことで、業界としてのニーズが保護され、構成員数も大きくなれば影響力にも関わってきます。
医者、歯医者は独占分野を強固にまもってきたので強い既得権益をもっている一方、医療費の膨張と現場の疲弊に繋がっています。
— 中田智之@歯学博士/医療行政アナリスト (@DashNaka) March 9, 2021
一定度コメディカルに対し規制緩和することでドクターが不要になり、国家観点で医療費の是正につながります。 https://t.co/REUGhSUZCM
しかしこれは諸刃の剣でもあり、今まさに医療現場では勤務医たちが「独占業務」の雑事に忙殺され、高レベルに培ってきた頭脳を活かせないでいます。また、同時にワクチン接種やPCR検査などを迅速に拡大できないのも、利用者のリスクと利便性の観点ではなく、「なるべく多くの」独占業務を堅守したい業界としての生存戦略も関わる問題だからです。
あたりまえのことではありますが、歯科衛生士や看護師・放射線技師などのコ・メディカルにできるだけ多くの仕事を任せるよう規制緩和していくのは、医療資源の適正配分につながります。
翻って歯周病学会の発信は、歯科衛生士の職業地位向上、医療資源適正配分の観点から、先進的であるものと私は高く評価しています。
*次回、通法リスクに関して
*その1,その2はブログ下部のアーカーブよりご覧ください