SNSボタン

FB連携SDK

2021年4月4日日曜日

虫歯予防は砂糖の量より頻度です

こんにちは! 東川口の歯医者 中田智之です。

虫歯予防に関して、砂糖の摂取量と、接種回数のどちらが重要かという論文をご紹介します。


古くから「お菓子の食べ過ぎは虫歯になる」と言われてきました。

これは後進国などでは確かにそうであることが分かっていますが、そういった地域では歯みがき習慣が定着していなかったり、もともと貧困からお菓子を食べることができない子供も多く、先進国と大きく条件が異なっています。

しかし歯みがき習慣が定着し、フッ化物による虫歯予防が行き届いている先進国では、砂糖摂取量と虫歯の関係性が小さくなることが複数の論文から報告されています。


例えば、食事中の糖分摂取量を大幅に増やしても虫歯の発生に影響しなかったが、間食を行うことで虫歯の発生が増えたことが論文内で言及されています。

分かりやすく言うと、「甘いものを食べたければ食後のデザートとして食べたほうがリスクが少なく」、「食事と食事の間の糖分摂取(間食やジュース)の回数が増えるほど虫歯のリスクが大きくなる」といえます。

虫歯が発見されたとき「甘いものばかりたべるから」と子供を叱る親は多いですが、上記の知見は子供に極端な我慢を強いず、虫歯予防ができる可能性を示唆しています。

栄養摂取や規則正しい生活習慣を考えると、「食後のお菓子は満足いくまで食べてもよく、ジュースも飲んでいい」「それ以外は水など糖分不使用の飲料、あるいはキシリトール製品のみ接種可能」とするのが合理的なメリハリだと考えられます。

ただし夕食の時間が遅いなど、子供が空腹となってしまう場合は、3時のおやつのみ許可する(1日4回食とする)という対応は妥当かと思います。

子どもが空腹を訴える都度、何度でもお菓子・ジュースを摂取させる、というのは最も虫歯になりやすい対応です。また運動時も含め水分補給にスポーツドリンクは必要なく、水で問題ありません。発汗量が多い運動をする場合はそれを補うために、多少塩分の多い食事にしたほうが熱中症リスクが下がります。(中高年者が運動せず塩分の多い食事をすると高血圧になるので、それとこれは分けて考えます。年齢も運動強度の条件も違います)

なおこの論文内でも指摘されている通り、砂糖の接種頻度をコントロールするよりも、フッ化物を使用したほうが遥かに高い虫歯予防効果を得られます。

私も虫歯になりがちな子供への指導としては、まずフッ化物の効果的使用を説明し、ダメ押しとして糖分摂取頻度のお話をします。

イメージとしては

フッ化物 ≧ 上手な歯みがき >>> 糖分摂取頻度 >>>>>>>> フロスの使用
(圏外:キシリトール、プロバイオティクス)

くらいのイメージをもってやっています。

ただしこの論文はリターチャーレビューという形式であり、よりエビデンスレベルの高いシステマティックレビューにはなっておらず、個々の研究も必ずしもRCTになっていません。

あくまで参考程度としていただければ幸いです。