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2021年5月6日木曜日

シダキュアと歯科外科治療に関する記事が川口市歯科医師会報に掲載

こんにちは! 東川口の歯医者 中田智之です。

川口市歯科医師会報にてシダキュアに関する情報提供が掲載となったので、ご報告いたします。以下抜粋。



ー注目の花粉症治療薬で喉頭浮腫 歯科外科治療で注意ー

花粉症治療薬の影響で、歯周外科治療後に喉頭浮腫が起こったという事例をご紹介します。ご存知の通り喉頭浮腫は窒息による重大事故につながる恐れがあります。

原因となったのは「シダキュア」舌下錠。成分はスギ花粉エキスで、2018年6月に販売開始された新薬です。減感作療法薬として使用され、数年間毎日1分間の舌下保持後内服することでスギ花粉飛散時期の鼻症状を緩和します。

この薬剤により花粉症が治ったという評判は広まっており、今後使用者は増えてくると考えられます。またハウスダストの減感作用療法薬で「ミディキュア」があります。

標題の情報は医師によるSNS発信によるもので、シダキュア投与患者が歯周病治療後に喉のかゆみを訴え発見に至りました。医師は事前に患者が歯周病治療を受けると把握していたものの、それがフラップ手術であるとは想定せず休薬不要と判断。結果、上顎臼歯部における術後創傷部を起点に、喉頭まで至る浮腫引き起こしたと考えられます。

シダキュアの添付文章には ”抜歯後等口腔内の術後又は口腔内に傷や炎症等がある場合は、口腔内の状態を十分観察し、本剤投与の可否を判断すること”とあり、医師の間でも抜歯等口腔外科手術時には休薬とするのが一般的な対応となっています。

本件を通じ歯科医師の側でもシダキュアに関する情報を共有する必要性を感じました。今後観血処置を予定している患者からシダキュアを使用の申告があった場合、他の薬剤と同様、対診書にて処方した医師に侵襲程度や切開の有無等を情報共有し、休薬およびその期間について判断を仰ぐのが適切な対応ではないかと思います。

シダキュアは数年間毎日飲み続けるので、花粉症シーズン以外でも使用しています。また5才から使用開始できるので、乳歯抜歯なども留意する必要があるかもしれません。

もちろんSNSでの事例なので、統計や論文があるわけでもなく、必ずしも歯科外科手術と喉頭浮腫が関連してはいないかもしれません。しかし例え「大きな問題ではなかった」としても、何かあってから後手に回ることの無いよう、学会などに働きかけてガイドラインやコンセンサスレポートを整える必要もあるのではないかと感じております。