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2019年10月7日月曜日

LBGTに関する就労や医療制度について学びました

こんにちは、歯医者の中田智之です。

先日(といっても一か月以上前になってしまいますが)縁があってLGBT勉強会に出席に、意見交換させていただきました。

その中で特に印象深かった点について、忘備録としてまとめておきます。
私の主観的なまとめのため、開催者の主旨とは若干ズレる点があるとはおもいますが、ご了承いただきたく思います。

虹色のリボンのイラスト

1、LGBTは多種多様である


まずLGBTは全件において事情の違う個別対応的に考えなければいけない問題だとわかりました。

昨今LGBTQIAなどとさらにパターンを拡大させる傾向もありますが、4文字や5文字ではまとめられないということです。



あるマイノリティについて属性を知るために、少なくとも以下のテーマがあるということでした。

1、肉体的性別
2、性自認
3、恋愛対象

それぞれについて男性・女性・どちらでもないという3つの選択肢があるので、きわめて大雑把な分類をするだけで3の3乗 = 27通りのテーマがあるということです。


そして冷静に考えてみると、LGBとTの間にテーマの乖離があることが読み取れます。

LGBが恋愛対象に関するテーマであるのに、Tは性自認のテーマであるということです。

LGBTと括ってしまうことで、既にテーマの矮小化の危険性があるということに気づきました。





2、性転換に関する医療法の矛盾


現行法では性同一性障害の診断に基づいてホルモン治療や性適合手術を保険適用で受けられますが、診断に関する道のりが遠いということでした。



たしかに二次性徴を考えると当事者としてはローティーンのうちに対応したい問題ですが、実際にローティーンが行う決断としては非常に難しいものであると感じました。

性自認について、ある程度の流動性があることは認められているからです。



特にハードルが高いと医療当事者として感じたのは、性同一性障害の診断に関して誤診をしたとして罰則をうけた前例があるということでした。



実際どのような展開であったかは知らないのですが、そういった前例があると医師としては診断に関して慎重にならざるを得ません

性自認に流動性があるのでなおさら、ある程度の時間経過を含めて診断したいと考えるのは妥当性があると感じました。



これは以前アゴラに寄稿した記事でも書きましたが、医師の診断による社会的影響が大きすぎる場合、医師は診断すること自体をためらうと思います。



もちろん診断というリスクを負うこと自体が医師の仕事の一つではありますが、それは科学的に明らかに当人の利益に資するという判断の下で行うものです。

当人の利益になるか流動的で判断しきれない事例に関して、医師個人が全責任を負い、場合によっては罰則が伴うという場合、慎重になるのは仕方ないのではと思いました。



もし医師一人で背負えない責任があるのであれば、病院で行われるカンファレンスのようなシステムを作り、リスクを組織単位で負う仕組みづくりをしたほうが良いのではないかと考えています。



具体的にはジェンダークリニックを一次医療機関とし、判断を悩むケースや、患者が早期診断を望む場合に関して二次医療機関・三次医療機関での診療チーム作り、その診療チームは精神科医・外科医・弁護士・ソーシャルワーカーによる連携の下リスクテイクのハードルを下げる、としたほうが良いのではないかと思いました。

もちろん病院単位でもリスクテイクはしたくないと思いますが、市立病院や県立病院であれば行政判断で実施できる可能性はありそうです。




3、就労規則に関しては機会均等を意識


これは私からなげかけた質問ですが、「髭を剃ることを拒否するセクシャルマイノリティに関して、髭を理由に就業拒否し、ユニセックスな清潔感を就労条件として課すのは差別になるか」というテーマです。



以前テレビで「女装はするけど髭は剃らない」というタイプのセクシャルマイノリティの存在をしり、もしそういった人がアルバイトの応募に来たらどうしよう、という想定です。

前提として私は医療機関の経営者なので、スタッフに対して華美な装いを控え、清潔感のある装いをするよう指定しています。



回答としては、「男女共に求めているものであれば、それをセクシャルマイノリティに求めても差別にならない」というもので、なるほど納得しました。



逆に、「セクシャルマイノリティであるから特別な配慮として特定の職務を避けるのは差別である」ということでした。



つまり、今後の就労規則に関しては「男女あるいはセクシャルマイノリティであっても同様の文脈で成立するルール作り」を考えていくのが合理的だと思いました。

これは既に男女差別撤廃の中で「男女共通で成り立つルール作り」として培われているものであるので、ほんの少し配慮の範囲を拡大するだけで十分に達成できるものと感じました。





まとめ


以上からLGBTに関しては全体的に「個別対応よりも普遍的対応」が求められているということを再認識しました。

27通り(実際には無限のパターンがある)の個別対応を考えても非効率的であると同時に、何らかの意図せぬ別の差別につながる可能性があるということです。



一方で医療制度の構築に関してはまだまだ不十分であるとともに、ローティーンの問題である、早く解決したい問題である、流動性がある、ということで医師のリスクテイクに対して何らかの免責を作っていかないと解決しないのではないかなと感じました。



一方ルール作りでは解決できない人付き合い面での解決策として印象に残った話題としては、

「LGBTに対して性に関する話題は避けたほうが良い。それは初対面の異性に対して性に関する話題を避けるのと同じである」

「初めて会う外国人に対して緊張するのと同様で、LGBTに会えばあうほど慣れる

などがありました。



今後も知見を広めていきたいと思います。





東川口の歯医者・歯学博士・歯周病認定医




中田 智之