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2022年1月19日水曜日

[備忘録] 台湾の後輩歯科医と歯周外科・保険制度で意見交換

こんにちは! 東川口の歯医者 中田智之です。

先日勉強会で台湾の歯科医と意見交換する機会があったので、差し支えない範囲でまとめたいと思います。

彼女は台湾の歯科大で資格取得した後、私の母校の歯周病学講座に留学というかたちで入局し、博士号を取得しました。

私の5期後輩で、在籍期間としては被っていませんがとても人当たりがよく、アニメ好きという共通点もあって仲良くさせていただきました。

今は台湾の大学の助教として、歯周病臨床医として再生療法に力を入れているようです。

1,再生療法の必要性

彼女の講演の中で印象にのこったのは、骨内欠損は垂直性骨吸収の場合は長い上皮性付着による治癒で問題ないが、垂直性骨吸収でさらに骨内欠損となっている場合は長い上皮性付着だと清掃性に問題が生じるおそれがあり、再生療法をしたほうが良い、ということでした。

後者の条件の場合再生療法の成功率も高くなるので、合理的だなと思います。

保険治療適応の再生療法薬もあるので、わたしも積極的に提案していこうと思います。でも在庫抱えると赤字なんだな


2,保険適応範囲

もうひとつ有意義だったのが、台湾の保険事情に関するリアルな話です。

台湾は日本同様皆保険制度が取られていますが、医療費に関してはうまくコントロールして抑制されています。

たとえば治療成績によって医院単位で診療報酬1点範囲の価格が変動する制度があります。

これは適切に効果がある治療をしていこうというインセンティブになると同時に、効果が見込めない場合は手術の提案自体を抑制する可能性があります。

特に歯周病の再生療法に関しては治療結果のバラツキが大きく、懸念事項です。

この点について伺ったところ、あまり意識せず、患者ごとに必要な医療を提供しているという回答でした。


一方で再生療法に関しては原則保険外で行っているようでした。そうであれば治療成績による診療報酬の影響は受けないので、これは背景として把握すべきかと思います。

再生療法を伴わない歯周外科治療は保険で行えるようです。再生療法は日本ではごく一部が保険適応になっています。再生療法のために高額な医療器具を使用しているが、これは保険外収入がなければ維持不可能だという見解もうかがえたため、個人的にはそのほうが良いのではないかなと感じています。

ただし専門医申請にあたって保険適応の再生療法には助けられたのは事実です。


こちらに対してはSPT制度導入での変化について聞かれたため、重度歯周病治療後のメンテナンスに関して制度が整備されたのは良いことだけど、多くの開業医がなかなか歯周外科治療に踏み込まないので活用は限定的と感じる、という肌感をお話ししました。

SPT・P重防に関しては歯周病観点からみるとかなり実態に即した整理がされているので、旧来の無理がある制度運用よりは良いと感じています。


やはり海外の現場の声が聴けるのはすごく有意義だなと感じました。今後の発信にも活かせると思います。