先週戸塚東小の歯科検診にいってきました。本年度はコロナの影響でやや変則的なスケジュールですね。
それに先立っていつもどおり前日に小学校からお電話をいただいたのですが、そこで新しい取り組みを提案されました。
私も「おもしろい」と感じた取り組みは…
プラークコントロールが良好だった生徒に、「上手にみがている」と伝え、記録をとるというものです。
従来著しくプラークコントロールが悪い生徒に関しては、虫歯リスクが高いことから「歯垢・歯石が付着している」と記録し、それは健診結果として保護者さんにもお伝えしてきました。
一方である程度歯みがきができていればそれは記録に取ることもなく、「良かった」ことに関する生徒や保護者へのフィードバックはありませんでした。
振り返ってみれば我々も日常的に健診・歯石取りでの歯科受診を薦めており、プラークコントロールが良好な方にはそれをお伝えする「正のモチベーション」を活用してきました。
悪いと罰があるという「負のモチベーション」は強い行動変容力を持ちますが長続きしないと言われています。一方で良かったものが褒められる正のモチベーションは長続きすると言われています。
なによりも「歯みがき上手できてます」と伝えると、多くの生徒たちが嬉しそうにしているのが印象的でした。
従来歯科検診にこのようなコミュニケーションはなかったので、子供たちの口腔衛生の向上に良い影響をあたえる可能性を感じました。
この取り組みを実施するにあたって、学校通信や校内放送で歯みがきを頑張ってくるようアナウンスするという事前の活動があったようです。
中にはプラーク染め出し液を使ってブラッシングしてきただろうと思われる生徒もおり、保護者も巻き込んだ大きなアクションになったと感じます。
集計結果は届いていないので体感ベースですが、1年生は6割程度、2年生は4割程度が「上手なはみがき」ができていたように感じます。
高学年は他の学校歯科医の担当でしたが、この割合はさらに低下するようでした。
やはり入学を機に歯みがきを子供の自主性に任せる保護者が多いのだろうと思います。歯の生え変わりもあって小学校高学年が最も歯みがき習慣が乱れやすいということは以前から知られていました。
理想的には10~12才の、歯の生え変わりが終わるまでは保護者の仕上げみがきが必要と言われていますが、なかなか難しいのではないでしょうか。現実としては週に1回でも、保護者が子供の歯みがきの状態をチェックし、関心があると伝えることから始めるのがよいのではと思います。
その際、揺れている歯、生えたばかりの歯へのブラッシングは子供自身にとってもどう扱えばいいのかわからず、ブラッシングが疎かになりがちだと心得ておきましょう。どんどん歯並びが変化するので、それに応じたブラッシングが必要で、最も難しい時期であるのは確かです。
ブラッシング方法について分からなかったら、いつでもかかりつけの歯医者さんに相談してみてください。