SNSボタン

FB連携SDK

2021年11月23日火曜日

得意分野を集めよう。地域の「歯科歯科連携」に関して

こんにちは! 東川口の歯医者 中田智之です。

日常診療している中でも、自分のスキルや設備では難しいと感じることがあります。

私自身、もちろん一般開業医として一通りのことができますが、正直言うと根の治療に関する高度な技術は持っていないと思います。インプラントもやりません。

特に根の治療というのは、「虫歯で痛む歯の神経を取って痛くなくする」は多くの人ができる治療内容ですが、「以前神経を取った歯が痛む」場合は、困難な治療内容となるケースが多いです。

こういう時は歯内療法に関する専門性をもつ歯科医師に紹介したほうが、適切な治療期間でちゃんと治るし、治るか抜歯が必要かもよりきめ細やかな判断ができると考えています。

実際現時点では年間数名程度、私では治しきれない根の治療について大学病院にいってもらっています。

しかし大学病院も都内なので、これを地域の歯科医師間で得分野を持ち合い、相互に紹介しあって患者が適切な治療にたどり着くよう連携しようというのが、「歯科歯科連携」です。

(関連拙稿)

しかし地域で紹介するということは遠方の大学病院に比べ通院というアクセシビリティで優位性をとれないので、嫌な言い方をすれば紹介した先を患者が気に入ってしまい戻ってこなくなるリスクを抱えます。

また特に私の専門性である歯周病に関しては、外科で、などのアクティブな治療期間の後、再発防止のために生涯にわたってメインテナンスと呼ぶ定期受診が必要になります。

これは義歯治療やインプラント治療に関しても同様で、歯の神経を取る治療に比べて明確な終わり、患者さんをかかりつけ歯科医にお戻しするポイントがないのがネックでした。



この問題に関して勉強会で師匠(関野愉准教授)から良いアイデアを貰ったなと感じたのは、留学先の北欧では「歯周病専門医の仕事はメインテナンスしやすい状態まで治療をすることで、メインテナンスは紹介元のかかりつけ歯科医で行う」という形になっているという話でした。

かかりつけ歯科医がメインテナンスできる水準を担保できるからできる仕組みだ、などという意見もでましたが、私だったらその患者さんのメインテナンス方法について詳細な情報提供とともにかかりつけ歯科医にお戻しすると思います。

それが紹介元歯科医院のメインテナンス水準向上の一助になれば地域住民の健康への寄与となりますし、私自身も歯の根の治療の専門医や、矯正専門医から診断のポイントなどを学ぶ機会にもなると思います。


既に日本歯科専門医機構などで専門医に関する質の担保や統一ルールなどがまとめられつつあります。この取り組みへの是非はありますが、「歯科分野における広告可能な専門資格」などという線引きもあることから、それに準じた形で地域歯科医師会内で紹介可能な歯科医院のリストアップなどをしても良いのではと考えています。

大学病院への紹介が可能な地域ではありますが、実感としてドクター次第で当たりはずれがあると感じていますし、顔と人柄を知っている相手でこそ信頼して紹介できるというものです。

個人的な取り組みとして、かかりつけ歯科医として自分で解決不可能な問題には、きちんと紹介をすることで責任を持つ、目利きの役目もあると考えています。しかし個人で持てる人間関係には限界があるので、患者さんの通院圏の観点から地域単位でそのような取り組みができたら良いのでは、と考えています。

またこれを発展させて医科への紹介も、よりしやすくなるといいなと考えています。

特に舌痛症や感覚異常に関しては二次医療機関でも十分な医療体験を患者さんに提供できているとは感じられず、きちんと向き合ってくれるセクションがないものかと感じています。