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2021年1月4日月曜日

維新のベーシックインカム論を読み解く。その3:年金部分で気になったこと



大きく関心を引いたのは年金の報酬比例部分、通称二階建て部分です。維新案では報酬比例部分に関しては「そのままにする」ということだったので、ここからは私が維新案を聞く中で感じた問題意識に基づいて検討したものとなります。

現在年金は所得に対する割合で、現在は18.3%が天引きされています。このうち給与明細に記載されるのは個人負担分の9%程度のみですが、残りは雇用者が支払っています。


雇用者が支払っているから自分は得している、と考えるのは間違いです。一般的に業種ごとに人件費割合の相場というのは決まっているので、もし事業者負担分がなければ自分自身の給与が上向くか、現場にもう一人人員が増えて業務が楽になるかのどちらかです。

老齢基礎年金のみを政府の役割と位置付ければ、もっと年金は縮小できるのではないでしょうか。報酬比例部分は国が担う妥当性があるか疑問です。

具体的には年金には厚生年金35兆、国民年金2兆の歳入があり、ここに9兆の国庫拠出が加わって予算となっています。基礎年金は、3500万人(高齢者人数)×6.5万円(基礎年金支給額)×12(ヶ月)=27兆円の概算で、残りが報酬比例部分になります。現状の年金支出が57兆なので、国は生活保護と同様基礎年金のみ担い、それ以上の部分は民間に任せれば、莫大な金額が民間活用されることになります。

また一つの思考体操として、一人6.5万円の子どもBIの予算は1600万人(15歳未満人口)×6.5万円(維新案資産額)×12(ヶ月)=12.5兆円となります。


問題は二重払い問題といい、今の高齢者の人生設計を崩さず、現役世代の損にならない配慮の部分です。2007年頃は「消えた年金問題」などが政権交代の決定打になるなど、かつては「年金は払った分帰ってくる」という意識が強かったようです。

しかし現役世代は支給年齢引き上げや年金支給額への課税などで、既に損しまくっているのが現実です。年金が払った分帰ってくるなどと思っている若者はいないでしょうし、年金がもらえるかどうかすら疑わしい、これ以上大損しないうちに多少の損があっても損切りしたいというのが、私の率直な感想です




維新は大阪府において天王寺公園運営の民営化に関する大きな実績があります。いうまでもなく民営化・自由化となることで競争原理が働きサービスが向上するとともに、国民の選択肢も増えます。国は生命保険などと同じように税額控除で民間年金の加入を後押しすればよいでしょう。

国政維新においても、このような社会保障制度の民営化・自由化のとりくみによる、持続性ある再構築を頑張ってほしいと考えております。