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2021年1月14日木曜日

国民に求めるのにテレワークできない医療界(後編)


では協議会での意見の通り、遠隔医療にはほとんど意味はないのでしょうか。

わたしはそれは市場軽視であると感じます。たった10人前後の協議会で、革新的なアイデアがでるでしょうか。これまで見たこともないアイデアは、今は無名の若者からでる可能性があります。

最初から「遠隔初診でできることはほとんどない」と断じてしまうのは、多くの可能性を奪っていることになりかねません。

例えば私は最近、夜中に子供の具合が悪くなり、#7119の救急安心センターを利用しましたが、ほとんど受診したのと同じレベルの具体的なアドバイスがもらえました。もしこれがなければ夜間休日診療をうけるために、深夜に車を飛ばして5駅先の病院にかけこまなければなりません。

このような病院に行くべきかどうかという受診勧奨の部分でも大きな価値があると思います。


例えば歯科においても、どうしても来院できない場合の対応として、患部を冷やせばよいのか、抜けそうな乳歯はそのままでよいのか程度であれば、それなりに状況は限定されるものの、必ずしも対面初診でなくとも提供できる情報等はあると感じています。

さらに対応可能な部分を広げるのがデジタルツールです。歯科では、子供が唇を切ったなどといったごく軽い外傷などに関しても、写真撮影などで対応できる部分は十分あるのではないでしょうか。

親は翌日歯科医院が開くまでやきもきする必要も、真夜中に車に飛び乗って救急外来にかかる必要もなくなります。逆に、本当に救急受診が必要な人に対し、直ちに救急車を呼ぶべきだとアドバイスすることも可能になるかもしれません。


現在は#7119は無料の公営サービスですが、民間で同様のビジネスが発展しないのは、「受診勧奨は保険適用外」、「無診療治療等の禁止」、「医療機関の斡旋紹介の禁止」などが理由です。

確かに規制を緩和することで様々な問題も予想されるため、監督省庁としてはパンドラの箱は空けたくないかもしれません。しかし、いつまでも従来通りのやり方を守り続けることで、最大の国家支出の一角である医療を維持していくことができるでしょうか。

このような受診勧奨部分のオンライン対応を拡充して、医療へのアクセシビリティを高めておくことは、現状の皆保険制度における医療へのフリーアクセスを維持したまま不要な受診を削減することに寄与できるのではないかと考えております。