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2020年2月20日木曜日

甲状腺癌検診について音喜多議員の質疑が素晴らしい点

こんにちは! 東川口の歯医者 中田智之です。

昨日原子力に関する国会質疑があり、その中で音喜多議員の質疑が素晴らしいと感じたので、所感を述べたいと思います。



この中で大きく3テーマあるのですが、特に共感したのは甲状腺癌検診についてです。

動画中にある通り福島県では原発事故の後、甲状腺癌検診を事業として行っており、学校などでも実施しているそうです。



しかし癌検診をすることで様々なハレーションが起こっており、動画内で指摘されるような問題点については共感をいたします。



医学的な観点を添えると、癌関連の論文においても5年生存率というのが一般的な区切りであり、既に10年実施しているということで、放射性物質の蓄積と拡散を考慮しても必要十分な期間を経ていると考えることができます。

これ以上の長期観察は研究としては価値があるかもしれませんが、自治体が予算をかけて行う事業であるかは十分検討する必要があると思います。



私が特に素晴らしいと感じたのは、医療行政の観点では既に実施している事業を止めることが非常に困難で、政治力学上リスクが高い一方で、財政上には常に考えなければならないことだということです。

今回の検診は予防的な側面がありますが、予防にゴールはないため無制限に膨張する要素を含んでいるというのは、これまで当ブログでもしばしば指摘してきました。

原発事故後に甲状腺癌検診に予算をつけたのは素晴らしい判断だと思いますが、どこかの時点で終了させるということにも、またエネルギーを割かなければなりません。



この甲状腺癌検診の予算については30年分が既に想定されているということですが、答弁にもあったように原発事故によって甲状腺癌は増加しなかったというのは既に公式見解であり、住民の安心を担保するという目的を踏まえても、見直しの時期は来ているように思います。



また補助金が終了になると直ちに成り立たなくなり、公共インフラに重篤な悪影響をもたらす林業などと違い、医療は甲状腺癌検診の補助金終了で困る事業者はほとんどいません。

予算に限りがあるのであれば、漁業や農業など必要としている分野もあるものかと思います。医療はターゲットが広く支持を得やすいですが、処理水問題の解決に関する予算なども必要になってくるものと考えられるので、適切なターゲットを考えることは重要だと思います。



また、このままの補助金が付いていれば現場における半強制的な受診は終わらないと考えられます。行政側として補助金の割合を暫時的に減らすなどの対応で、現場での自主的な見直しを促すのが余裕をもった解決策ではないかと思います。

「安心のために検診したい」というニーズもあることと思いますので、受診率などを勘案しながら、テーパリングの速度は決めれば良いかと思います。

このように削減や見直しについて提言すること自体がハードルの高い医療の分野について議題としていただけたことは、たいへん有難いことだと考えています。



その他、公文書管理については電子化率が諸外国で100%近くであるのに比べ、わずか2%未満であるなど、重要な論点もありました。

公文書管理は重要な論点だと考えており、保存の可否の判断をせず静止画像・テキストデータとして全て電子的に保存しても、今の記憶媒体の容量を考えればいくらでも残せるものと考えています。

一日にどれだけYoutube動画データが膨張しているか考えれば、比較にならないのではないでしょうか。



本日は政治の話題になりましたが、医療行政も公衆衛生、ひいては現場医療の一環だと捉えておりますので、記事としました。