昨年厚労省オススメの”公式”歯みがき法が大幅改定され、クリニックや学校などでその普及にいそしんおりますが、
その中で多く寄せられる質問が「マウスウォッシュはいつ使ったらいいの?」というものです。
これは現場の衛生士さんたちどうしたら良いのか迷っている部分なので、だれかがしっかり指針を示していかないとならなそうです。
また”公式”歯みがき法についてたびたびブログで発信してくださるおざき均整 @浜松市中央区初生町にある整体のお店からも同様のご質問が。歯科以外の専門家の方からも普及にご協力いただけるのは、大変ありがたいことです…!
そういうわけで今回はむし歯予防の中でマウスウォッシュをどのように使っていくか、まとめてみました。
まずこれまで繰り返し発信しております、”公式”歯みがき法については下記および下図のとおりです。
「1日2回、2分間の歯みがきで、2センチほどのフッ化物配合歯みがき剤1400-1500ppmFを使用する。その後うがいはしないか、15mLほどの少量の水で1回だけうがいをする(*6歳以上の場合)。」
これを実行することで歯みがきが上手にできない方も含め、およそ30%のむし歯予防効果が発揮されると分かっています。
一方でマウスウォッシュに関してはすべての成分に関して、医療統計的に十分な健康増進効果が観測されたものはありません。
もちろん実験室内で殺菌効果があったとか、歯肉細胞を活性化させたとかいう報告は無数にあります。ただ人間集団を対象とした長期研究で、公衆衛生として推奨できる効果量を示したものはなかったということです。
洗口剤の出番は、せいぜい手術や事故による外傷がお口の粘膜にあるときの感染予防くらいでしょうか…。
誤解してほしくないのは、マウスウォッシュを禁止するつもり全くないということです。
スッキリ感やピリピリ感が好きな方もいらっしゃると思うので、 健康増進効果はないけど使うのは個々人の自由だと思います!
ここでカンの良い方はお気づきだと思いますが、”公式”歯みがき法の中でフッ素配合歯みがき剤を使用した後に過度にうがいをすると、むし歯予防効果のあるフッ化物が洗い流されかえってむし歯効果が損なわれる懸念があるわけです。
そこで注目したいのが、”公式”むし歯予防法における「15mLほどの少量の水で1回だけうがいをしてもよい」という部分です。
元々はフッ化物をお口の中の隅々までいきわたらせるための「少量の水でのうがい」ですが、研究の結果これはやってもやらなくてもむし歯予防効果に変わりがなかった。じゃあやらなくてもいいよね。公衆衛生はラクなほうが普及するよね。という経緯があります。
逆に言えばこの「少量の水」をマウスウォッシュに置き換えたとしても、フッ化物配合歯みがき剤によるむし歯予防効果は減弱しないと解釈することはできそうです。
ここで”少量”についてですが、文献的には「ペットボトルキャップ1杯分」と表現されてきました。
正直これもちょっとわかりにくいので15mLの目分量として良いものはないかとしらべてみたところ…
ちょうと”大さじ1杯 = 15mL”という説を発見しました。これはわかりやすい!
そういうわけで結論。
”マウスウォッシュは、歯みがきのあとに大さじ1杯の分量で1回だけ使用してもよいのではないか。”
ご指摘や異論などありましたらSNSなどで寄せていただけると勉強になります!