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2023年1月21日土曜日

インフォームドコンセントかパターナリズムか

こんにちは! 東川口の歯医者 中田智之です。

今日はちょっと興味深いツイートがあったので、考えてみました。


ご存知ない方のために簡単に説明すると、インフォームドコンセントというのは病状についてしっかり説明し、治療方針について選択肢を示した上で合意を得てから治療しましょうというものです。

一見当たり前のことを言っているように感じるかもしれませんが、ほんの半世紀前まではパターナリズム(父権主義・温情主義)という、治療方針は医者が決め、病状も場合によっては秘匿するのが医療だとされてきました。

極端な例でいうと、癌告知がされるようになったのもこの20~30年のことで、それ以前は「癌告知してしまうと絶望して生きる意欲をなくしてしまうので本人には知らせない」ということが「当時としては正しい医療」として行われてきました。


とうぜん患者さんはこういった医学教育の変化はしらないわけで、ご高齢のかたほどパターナリズムでの対応が一般的なものと認識する傾向が強いように思います。

わたしは個人的に自己決定権を最大限尊重したいという考えをもっているので、最大限インフォームドコンセントを重視した病状説明と治療方針立案を行いますが、やはりご高齢の方には少し戸惑いを感じられることが多いように感じます。

一方で同年代以下だと権利意識やコスト意識が強く、十分なインフォームドコンセントを期待してくる傾向を感じております。ただしこれは私のクリニックにそういう新規患者さんが集まってきているというバイアスかもしれませんがー。

そういうわけでスムーズなコミュニケーションをするためにある程度相手のニーズを読みながら説明していますが、最近は共通した流れが作れているような気がします。

①歯科医としてお勧めの治療法 → ②病状説明 → ③治療の選択肢と未来予測

言い方は十分に配慮しますが、まず結論からいって相手の興味を引きます。もし私が第一選択肢に考えた治療法に対し異論があるほど、年齢を問わず病状説明や選択肢をしっかり聞くようになります。逆にこの時点で「それでいい」的な反応があったら、後の説明はかなり短縮する場合もあります。

私としてはここでインフォームドコンセントがしっかり得られることが、もっとも治療がスムーズに進行する秘訣だと考えています。

そういえば大学院でたての頃の私はそれを、「ゴールの共有」とか「患者と歯科医で同じ方向を向いて治療を進めたい」とか言っていた気がします。そうしたほうが、患者さんの協力を最大限に引き出せるような気がしています。