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2022年11月3日木曜日

歯科衛生士の業務はなぜグレー部分が多いのか

こんにちは! 東川口の歯医者 中田智之です。

先日下記のようなツイートを見かけました。DHとは歯科衛生士(Dental Hygenist)の略です。深いテーマなので考察してみようと思います。
 


歯科衛生士という国家資格業のありかたは歯科衛生士法に規定されていますが、その中では具体的な禁止項目というのはほとんど書かれていません。

これは一般的な歯科診療所に限らない、様々なシーンを想定して職務の内容を委縮させないためとされています。

実際に法解釈的には歯科衛生士が、歯医者が歯を削った穴に充填物を詰める、歯医者が全身状態に問題なしと判断した局所麻酔を患者に注射することができる、とされています。

しかしこれらは一般的な歯科医院ではほとんど歯科衛生士の業務として採用されていません。もちろん当院でも採用していません。

一方で放射線照射器の照射スイッチを押すとか、歯を抜くとか明確に歯科衛生士がやってはいけない仕事もあります。

ただし日本の法制度の作り方で、このように現場裁量権を重視するあまりグレーゾーンが大きくなって混乱が生じるということは良くあります。

そして日本ではそれが慣習や、その地域でのローカルルールや、行政官の一存で判断が左右されてしまうのが最大の問題だと感じています。それを防ぐためにもより分かりやすい線引き、あるいはネガティブリスト(やっちゃいけない具体例)という形で明確化するのが良いと言えます。

しかし一方で技術の進歩により医療行為はどんどん技術依存度が低くなるよう商品開発されており、例えば歯科麻酔も昔よりも細い針で効きやすくなっています。

そういう中で常にその線引きを見直す作業をするのも大変…。これがグレーゾーンが大きい実態なのかなとおもいます。


ところで「歯科衛生士としての成長」とは何でしょう。私は歯科衛生士が専門的歯周病治療を手伝ってくれると嬉しいと思いますが、その主な仕事はハミガキ指導なので、「被せ物の調整や詰め物ができるようになりたい」というニーズとは乖離しています。

しかしハミガキ指導は本気で患者の生活習慣を変えようとすると、歯医者も頭を悩ます最難関技術。

ハミガキ指導とポップな感じで言いつつ、その実態は行動変容療法でありコーチングであり傾聴であり要因分析でありコミュニケーションスキルであり、五感だけでなく第六感までをも駆使して向き合うものです。

まぁ様々な志向があるから本人のやりたい仕事ができる職場と出会えればそれが一番良いとは思いますが、診療補助や仮歯づくり、在庫管理やクリニカルパス等のニーズの大きい技術を習得したほうが「市場における自分の成長」にはつながるんじゃないかなぁと思いました。

そういうのに憧れるのはわかるけどね。