しばしば聞かれるのが、毎回のように歯みがきスコアをチェックされて治療に入らない歯医者があるという話です。
これは事実で2000年代初頭に流行ったやり方です。歯医者としてはとても真面目な方なのだろうなぁと思います。
私の後輩にも、そのような歯科医院を作りたいという方がいました。
プラークコントロールを改善しなければむし歯は再発してしまう。歯みがきが十分にできない状態で削って埋めても無意味だ、と熱っぽく語っていたのを思い出します。
当時の私は十分な答えを持っていませんでしたが、今なら答えられます。
それは必ずしも必要ではありません。
まずむし歯の再発予防にはフッ化物の効果的利用と食習慣が大きく関わってきています。歯みがきの水準に関しては、目で見える程度にモサモサとプラークがついていなければ十分でしょう。
以上を踏まえてむし歯の再発に関する諸条件を踏まえて削るか削らないかも含めた治療方針を決定すれば良く、歯みがきスコアは治療方針決定に関してあまり重要ではありません。目視でのプラーク判定、歯肉の状態の観察で十分できると考えています。
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ただし歯周病の動的治療時(手術前など)にはPCRは重要です。20%にする根拠はないと言われていますが、多くの歯周病治療の文献は20%で行われています。
つまり平均20%の状態で歯周病治療をしなければ、文献上の治療効果を再現できなくてもなんら不思議ではないと考えています。
重要なのは平均20%なので、レンジとしては「がんばると20%台がとれる」ではなく、「良いときで10%台後半がでる」レベルにする必要があると考えています。
さらに歯周病治療後のメンテナンスフェイズでは必須と考えています。
歯周病の再発、歯の喪失に対し、歯みがきスコアは最も重要な先行指標になると考えています。
その根拠はまたこんど。
まとめると以下のように自分の中ではまとめています。
・むし歯治療の場合はよほど歯みがきが苦手な方以外歯みがきスコアの測定は必須ではない。
・歯周病治療をする場合はメンテナンスフェイズも含めて頻回の歯みがきスコア測定が必要。